義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

#1851-1855 石ころを・・・

丹波古刹15ケ寺霊場 第10番 白毫寺 <義母の短歌>#1851-1855 #1851 石ころを拾いて詰め置く袋まで噛み破られおり生きの厳しさ #1852 むくつけき男のごとき冬景色福寿草の芽がまだ貌見せぬ #1853 大江山の鬼に喰われし河守の地名は永劫わが裡にあり #185…

#1846-1850 境木の・・・

丹波古刹15ケ寺霊場 第10番 白毫寺 <義母の短歌>#1846-1850 #1846 境木の桧太りて直ぐなるを麒麟棲むかと思うことあり #1847 磨り減りし三組の石臼遠き世の女の汗の沁みてしあらむ #1848 繋がりしつららと根雪隙間風冷たかりしよ子を抱く布団 #1849 喜…

#1841-1845 石蕗の・・・

丹波古刹15ケ寺霊場 第10番 白毫寺 <義母の短歌>#1841-1845 #1841 石蕗の重なり繁る葉に隠れでで虫いくつ往生遂げいき #1842 朝刊は確かに差され朝の月刻惑わせて皎こうと輝る #1843 昭和七十三年満期の保険ありその時私の昭和が終わる #1844 本を読…

#1836-1840 此れの世の・・・

丹波古刹15ケ寺霊場 第10番 白毫寺 <義母の短歌>#1836-1840 #1836 此れの世の何見て終わる春蘭か暗き木陰に蕾育くむ #1837 跳ぶでないも少しとっくり貌見せよ鳥類図鑑無駄にさせるな #1838 山鳩の真夜ひとしきり啼きたつを小鳩死なせし母かと思う #183…

#1831-1835 侘しきは・・・

丹波古刹15ケ寺霊場 第10番 白毫寺 <義母の短歌>#1831-1835 #1831 侘しきは何ありとしもしおらしく泣きて縋りし記憶なきこと #1832 役たたぬ教育勅語覚えいて辞典なくては漢字の書けず #1833 格別に親しくもなき人の来て定年退職を繰り返し告ぐ #1834 …

#1826-1830  「みいちゃん」と・・・

丹波古刹15ケ寺霊場 第10番 白毫寺 <義母の短歌>#1826-1830 #1826 「みいちゃん」と呼ばれし童女七転び八起きの末を強かに老ゆ #1827 苦を持たぬ貌造るのに苦労する一寸さみしい倖せな女 #1828 雪の匂いありとしなくも手に掬いないものねだり雫なすまで …

#1821-1825 過ぎてより・・・

丹波古刹15ケ寺霊場 第10番 白毫寺 <義母の短歌>#1821-1825 #1821 過ぎてよりふと振り向きぬつき来たるあるかなきかのろう梅の香に #1822 拾い来し古釘ならぬ釘一本何処に打ち込み生かしやらんか #1823 味のなき空気と言えど安らかに吸う息吐く息我が…

#1816-1820 四面楚歌・・・

丹波古刹15ケ寺霊場 第10番 白毫寺 ご朱印と案内 <義母の短歌>#1816-1820 #1816 四面楚歌戯れ言歌を書き並べやや救われて灯消すなり #1817 み仏も飽き給うべし水仙の他に花なき冬の花筒 #1818 わが脚に合わせくれたる夫との旅ゆ気楽さに替わるものなし…

#1811-1815 わが食ぶる・・・

丹波古刹15ケ寺霊場 第9番 高源寺 <義母の短歌>#1811-1815 #1811 わが食ぶる野菜は店舗に任せ置き土を区切りて花を培う #1812 気紛れな春の訪れ封印を解かれしごとく明るき数日 #1813 チェーンソーの命を削る音たつを半日聞けば穏やかならず #1814 忘ら…

#1806-1810 待ち呉れし・・・

丹波古刹15ケ寺霊場 第9番 高源寺 <義母の短歌>1806-1810 #1806 待ち呉れし花鉢の礼にろう梅の枝を手折りて差し出しにけり #1807 山の彼方に幸い住むと唄いたる人現れよ倶に探さむ #1808 引き潮に われゆきし歌心無疵のままで不意に戻り来 #1809 八方美…

#1801-1805 足ひきて・・・

丹波古刹15ケ寺霊場 第9番 高源寺 <義母の短歌>#1801-1805 #1801 足ひきてゆく人やたら目に留まり身に引き替えて寒く街ゆく #1802 乗り捨てのバイクに凭れる錆自転車父と子に似るバス停の裏 #1803 目の仇にされてあわれや貧乏草種残さむと春の木陰に #1…

#1796-1800 町住みの・・・

丹波古刹15ケ寺霊場 第9番 高源寺 <義母の短歌>#1796-1800 #1796 町住みの友に貰いし白菜を蒔かぬ山住み漬け菜に仕込む #1797 子が大事われとて同じ帰省者の心そぞろを咎めはすまじ #1798 何をしているかと問われ口籠る只今残夢整理中なり #1799 信号を…

#1791-1795 異人種に・・・

丹波古刹15ケ寺霊場 第9番 高源寺 <義母の短歌>#1791-1795 #1791 異人種に遭いしごとくに読みとばすわれに要なき若人の歌 #1792 背広着てネクタイ締める詐欺男「知らぬ知らぬ」と破れかぶれに #1793 心根の複雑骨折癒えし瞬獅子身中の虫も死にたり #1794…

#1786-1790 コーヒーを・・・

丹波古刹15ケ寺霊場 第9番 高源寺ご朱印と案内 <義母の短歌>#1786-1790 #1786 コーヒーを前に頬杖つく男何にも見たくはないと言う貌 #1787 間わぬのに「風邪引いたんや」と言う人の草臥れし顔もの哀しけれ #1788 寒卵つるりのみどを辷らせて辿る夢路よな…

#1781-1785 ひと廻り・・・

丹波古刹15ケ寺霊場 第8番 岩龍寺 <義母の短歌>#1781-1785 #1781 ひと廻り若き男を恐がらせ銀杏の殻を歯に割る快感 #1782 果てのなき空に爆音曳きてゆく飛行機常に孤独ならずや #1783 冬に花火を並松河畔に轟かさば丹波綾部の名も轟かん #1784 ひとり独…

#1776-1780  いち日の・・・

丹波古刹15ケ寺霊場 第8番 岩龍寺 <義母の短歌>#1776-1780 #1776 いち日の生計をかけて野菜売り小銭数えし遠き若さよ #1777 過ぎ来しを淡たんと語るのど塞ぎ声を曇らす泪を憎む #1778 除草液の雨浴びるとは露知らず同じ貌して群れ生う草の児 #1779 軒に…

#1771-1775 生活の・・・

丹波古刹15ケ寺霊場 第8番 岩龍寺 ご朱印と案内 <義母の短歌>#1771-1775 #1771 生活の匂い隠さず割り勘の主婦等去りたる後の静けさ #1772 今少し喜寿には間のあり降る雪を吹き上げ弾ける花火をみたし #1773 見送るも見送らるるもさびしくて噛むひとひら…

#1766-1770 摘まれ来て・・・

丹波古刹15ケ寺霊場 第7番 高山寺 <義母の短歌>#1766-1770 #1766 摘まれ来て根なし水なし菜の花の黄なるがあわれ籠に咲き充つ #1767 三隣亡のひと日の終焉ドアロック開けてくれたり白皙の青年 #1768 物陰の器の水のごとくいて誰の邪魔にもならねばいい…

#1761-1765 膝に馴れ・・・

丹波古刹15ケ寺霊場 第7番 高山寺 <義母の短歌>#1761-1765 #1761 膝に馴れ足踏みたてるみどり児に遠き胎動さまされていつ #1762 朝戸繰る音に跳び立つ小鳥どち此の霜畑に何を求めて #1763 小鳥どち千両万両みなつつけ鴉も啼けよ春遠からず #1764 啄めと…

#1756-1760 格別に・・・

丹波古刹15ケ寺霊場 第7番 高山寺 <義母の短歌>#1756-1760 #1756 格別に何を昂ぶることもなし竹の節にも似たるか正月 #1757 与えらるる刻はみずからゆかさねば視るともなしのドラマ三篇 #1758 多感なるわれに関わる諸人に借りを抱ける心地こそすれ #175…

#1751-1755 雨漏らぬ・・・

丹波古刹15ケ寺霊場 第7番 高山寺 <義母の短歌>#1751-1755 #1751 雨漏らぬ屋根下に住む安らぎを夫ある日は思わざりしよ #1752 歌詠みのわれを知らずに逝きし夫互みにそれを倖せとせん #1753 手つけずの雪に重なる屋根雪のとりでの如くひとり屋囲む #175…

#1746-1750 屋根屋来て・・・

丹波古刹15ケ寺霊場 第7番 高山寺 <義母の短歌>#1746-1750 #1746 屋根屋来て樋屋も来たり口ぐちに人の弱味を掻き回し去ぬ #1747 背戸開ける腕すり抜けわれよりも先に日暮れの風が吹き込む #1748 心地良き空腹感あり噛むりんごさくさく胃の腑の常闇充た…

#1741-1745 やわらかき・・・

丹波古刹15ケ寺霊場 第7番 高山寺 ご朱印帳と案内 <義母の短歌>#1741-1745 #1741 やわらかき他人の赤児を抱き上げてあやしいるのかあやされいるにか #1742 挿し木より育ちしエゴの木高速路の設置を知らず花の季を待つ #1743 泥滲みのなき冬の爪切り揃…

#1735-1740 まとうもの・・・

昨日までに、義母の手作り短歌集(六)に蒐集された238首をカテゴリーに分類し掲載いたしました。 今日からは手作り短歌集(七)に蒐集されている短歌266首を順次掲載していきます。これらの短歌は、平成九年一月から三月の間(義母73歳)に詠んだも…

カテゴリー:街・町

丹波古刹15ケ寺霊場 第6番 達身寺 手作り短歌集(六)に蒐集されている短歌を、11のカテゴリーに分類いたしました。短歌集に掲載された238首の内、11番目のカテゴリー【街・町】に分類した短歌2首を掲載いたします。 <義母の短歌 カテゴリー:街…

カテゴリー:亡夫・夫

丹波古刹15ケ寺霊場 第6番 達身寺 手作り短歌集(六)に蒐集されている短歌を、11のカテゴリーに分類いたしました。短歌集に掲載された238首の内、10番目のカテゴリー【亡夫・夫】に分類した短歌2首を掲載いたします。 <義母の短歌 カテゴリー:…

カテゴリー:独り・老い(六)

丹波古刹15ケ寺霊場 第6番 達身寺 手作り短歌集(六)に蒐集されている短歌を、11のカテゴリーに分類いたしました。短歌集に掲載された238首の内、9番目のカテゴリー【独り・老い】に分類した短歌4首を掲載いたします。 <義母の短歌 カテゴリー:…

カテゴリー:家族(六)

丹波古刹15ケ寺霊場 第6番 達身寺 手作り短歌集(六)に蒐集されている短歌を、11のカテゴリーに分類いたしました。短歌集に掲載された238首の内、8番目のカテゴリー【家族】に分類した短歌(9)首を掲載いたします。 <義母の短歌 カテゴリー:家…