義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧

カテゴリー:動植物(九)

福知山市多保市 天神社 手作り短歌集(九)に蒐集されている短歌を、11のカテゴリーに分類いたしました。短歌集に掲載された228首の内、二番目のカテゴリー【動植物】に分類した短歌(39首)を掲載いたします。 <義母の短歌>カテゴリー:動植物(九…

カテゴリー:自分・生活(九)

福知山市多保市 天神社 <短歌集(九)の掲載を終えて> 昨日までに、手作り短歌集(九)の掲載を終えました。 今日か らは、短歌集(九)に掲載された228首の短歌を11のカテゴリーに分類し掲載していきます。 短歌集(九)に掲載された228首の内、…

#2601-2606  雨のなき・・・

福知山市多保市 天神社 <義母の短歌>#2601-2606 #2601 雨のなき八月の地に衰えず緑葉ゆらす樹々の力よ #2602 まだ若き零余子のほろほろこぼす秋草分け拾う指躍らせつ #2603 もう誰も構ってくれないトレニアの小花を時折訪う黒揚羽 #2604 弾ける日待てるや…

#2596-2600 飛べぬ鳥・・・

福知山市多保市 大野山善光寺(曹洞宗) <義母の短歌>#2596-2600 #2596 飛べぬ鳥ヤンバルクイナの子離れをしゅんと見ている深夜テレビに #2597 腰痛にやむなく籠る晴天の時がじんじんわれ置きてゆく #2598 人生の九つまでが歎きとう柊二の歌に頷きうなず…

#2591-2595  みどり濃き・・・

福知山市多保市 大野山善光寺(曹洞宗) <義母の短歌>#2591-2595 #2591 みどり濃き列島が好き京がすき丹波山家のわが里が好き #2592 八つ手の葉叩きまろべる梅雨しぐれ人の声欲る耳をくすぐる #2593 ジョギングの乙女Tシャツ膨らませ軽々宙蹴る足羨しもよ …

#2586-2590 トタン屋根・・・

福知山市多保市 大野山善光寺(曹洞宗) <義母の短歌>#2586-2590 #2586 トタン屋根射るごと激しく轟きし雷鳴消えたる鄙の静けさ #2587 夕闇の連れ来し安堵にふんわりと心ほどきて浸るひとり湯 #2588 狂い咲く木瓜挿す空瓶よみがえり花と分け合う生きの喜び…

#2581-2585 鎌あてし・・・

福知山市田野 天神社 <義母の短歌>#2581-2585 #2581 鎌あてし指より滴る鮮血に脳の機能が一瞬とまる #2582 知られずに花どき終えし小判草「咲きましたよ」と小判踊らす #2583 迷いつつドア押すローソン眩しかり山姥などの訪う店ならず #2584 花が木がもし物…

#2576-2580 童なき・・・

福知山市田野 天神社 <義母の短歌>#2576-2580 #2576 童なき里に幼児の歓声と訝る耳に「あれは猿だよ」 #2577 たんぽぽの「ポポポ」と笑う岸刈りかね黄昏れ時まで鎌休ませる #2578 ねんごろに調えし畑眺め立つ此の充実感われの生き甲斐 #2579 文明の光に凡そ遠…

#2571-2575 労勤を・・・

福知山市田野 天神社 <義母の短歌>#2571-2575 #2571 労勤を常とし生きて晩年に対き合う歌の師は広辞苑 #2572 喜びは歩いて来ないさはあれど探しにゆく程飢えてもいない #2573 合併に合併重ね市となりし故郷に来て探すふるさと #2574 ひと岸を占めるつくし…

#2566-2570 白絹を・・・

福知山市田野 楽永山官福寺(真言宗) <義母の短歌>#2566-2570 #2566 白絹を纏える三日月棘のなき光を注ぐ地の万象に #2567 手弱女の後れ毛ほどの春風に命濃くする木瓜のくれない #2568 姑言いし「親はへちまのだんぶくれ」良く解らねど解る気もする #2569 …

#2561-2565 凍てつきし・・・

福知山市田野 楽永山官福寺(真言宗) <義母の短歌>#2561-2565 #2561 凍てつきし根雪に泪こぼしせる天っ陽の神わが恃む神 #2562 むっつりと吊らるる玉ねぎ振り落とす孤独な風の透けるてのひら #2563 工事現場に夜っぴて点る青き灯がめぐりの闇をなお濃ゆく…

#2556-2560 愛想に・・・

福知山市田野 楽永山官福寺(真言宗) <義母の短歌>#2556-2560 #2556 愛想にかけし言葉がねぎ大根かぶらに変り届く年の瀬 #2557 満ち欠けは世の常なりと闇溶かし蒼く輝く寒の半月 #2558 節毎に人には見せぬ闇を抱く青竹ばしりと雪撥ねかえす #2559 潮引く…

#2551-2555 「おばあちゃん」・・・

福知山市田野 楽永山官福寺(真言宗) <義母の短歌>#2551-2555 #2551 「おばあちゃん」孫の電話が馳走なり何はなくとも夕餉が美味い #2552 朝まだき霧這う谷に鳴く鹿の声切なげなりひとりの耳に #2553 風の意のままに吹かるる病葉に終りしものの軽さを見た…

#2546-2550 留守宅の・・・

福知山市大内 遊源山洞楽寺(曹洞宗) <義母の短歌>#2546-2550 #2546 留守宅の扉打つさまに茶の揚羽終りに向う花びらつづく #2547 腹見せて踠く羽欠け黄金虫轢かるるまいぞとわがてのひらへ #2548 引き籠るわれを起たせて歌の道説きたる人の死も遙かなり #…

#2541-2545 哀と楽・・・

福知山市大内 遊源山洞楽寺(曹洞宗) <義母の短歌>#2541-2545 #2541 哀と楽微熱のごとく身を包むひとりに戻りし夜の長さよ #2542 肱笠の雨パラパラと降りこぼし今日も素気なく逃げる雨雲 #2543 鎌三丁研ぎ上げ明日に具え置くあの草刈らねば夏が終らぬ #25…

#2536-2540 心から・・・

福知山市大内 遊源山洞楽寺(曹洞宗) <義母の短歌>#2536-2540 #2536 心から夫婦になれた十年目古き日記のわが文字の跡 #2537 恙なく羽化遂げしかと確かめる草間に転がる抜殻の背な #2538 心地良き夢の切れはし手に掬う水にかも似て失せゆくばかり #2539 …

#2531-2535 荒れ畑の・・・ 

福知山市宮 一宮神社 <義母の短歌>#2531-2535 #2531 荒れ畑の草引き終えて腰下ろす甲斐なき勝利得たる思いに #2532 山住みの目は眩しめり魚跳ねるさまにきらめく湾の細波 #2533 ルームミラーに映りし夕陽くねくねの山路抜け来て正面にみる #2534 廃屋の傾…

#2526-2530 どっしりと・・・

福知山市宮 一宮神社 <義母の短歌>#2526-2530 #2526 どっしりと古き陶器を思わせる山膨らみて葉裏をかえす #2527 三猿を決めこみふんわり生くるのも思う程にはたやすくあらず #2528 曳かれゆく罪人のごと用済みの重機深夜に運ばれゆけり #2529 竹馬の高き…

#2521-2525 初夏の山・・・

福知山市池田 能勢神社 <義母の短歌>#2521-2525 #2521 初夏の山成育盛りの少年の清しさ見せて膨らみ迫る #2522 隣り家の主の釘打つ確かなる音頼もしく聴こゆる晴天 #2523 寝ねぎわに教育勅語そらんじるつくづく古きか大正生れ #2524 子天狗の扇にやりたし…

#2516-2520 戒名なく・・・

福知山市池田 能勢神社 <義母の短歌> #2516 戒名なく縁も知らぬ遠き死者わが墓原の隅に回向す #2517 吹く風に音色つけられ細く鳴る吊りっぱなしの春の風鈴 #2518 慈なく八十路を生きて黄の信号無視せず待つにようやく馴れる #2519 昼の月匠の漉きし和紙の…

#2511-2515 奥丹後・・・

福知山市池田 旧岳山來迎院(真言宗) <義母の短歌>#2511-2515 #2511 奥丹後大震災に野に寝かされ仰ぎし糠星今もまたたく #2512 六十年経つれど忘れず鍬先にかけし卵に泳ぎし蛇の子 #2513 白濁の雪解け渦巻き岩を打つ自然のくれし鄙の景観 #2514 此んな夢…

#2506-2510 喜怒哀楽・・・

福知山市池田 旧岳山來迎院(真言宗) <義母の短歌> #2506 喜怒哀楽失せたる人の卒塔婆抱き十七回忌の墓地の雪踏む #2507 冬ざれの峡の河原に歳月の諸々秘めてそそり立つ岩 #2508 だるまあり六地蔵あり仔犬あり路肩に黒ずみ傾く残雪 #2509 寒中に水浴び続…

#2501-2505 此の里に・・・

福知山市池田 旧岳山來迎院(真言宗) <義母の短歌>#2501-2505 #2501 此の里に居てくれるだけでいいと言う自治会長も七十路中半 #2502 仏間なき家に育ちし外孫の来訪一番上げる燈明 #2503 ぷりぷりに太れるひ孫抱く膝の痛みに堪えて温み愉しむ #2505 乾き…

#2496-2500 元気だと・・・

福知山市三俣 若宮八幡宮 <義母の短歌> #2496 「元気だと応えてくれるだけでいい携帯持って呉れよおふくろ」 #2497 人界に何とし起るも平然と雲遊ばせて宇宙は無傷 #2498 電線に羽休めて寒ざむと一人合点している鴉 #2499 行き交える人も稀なる山径のはぜの…

#2491-2495 喜びを・・・

福知山市三俣 若宮八幡宮 <義母の短歌>#2491-2495 #2491 喜びをひとり占めして朝まだきぎんなん拾うバケツ一杯 #2492 自を知るは自の他になしだんまりに昏れて乾ける唇熱し #2493 此れの世の外なる声の降るごとしトタン屋根打つ暗き雨音 #2494 増水に水吠…

#2486-2490 子の呉れし・・・

福知山市三俣 生野神社 <義母の短歌>#2486-2490 #2486 子の呉れし回転椅子に身をゆだね窓越しにみる夏の後姿 #2487 旱魃に耐えてようやく鈴蘭のつけし実だけは突つくな鴉 #2488 真っ直ぐに伸びる杉の木好もしく見ているわれも直進型なり #2489 実をつけぬ…

#2481-2485 夏野菜・・・

福知山市三俣 生野神社 <義母の短歌>#2481-2485 #2481 夏野菜人と獣の知恵くらべ人は大方負けて嗤えり #2482 落ちてなお象崩さぬのうぜんの花避けてよろめく夏草の径 #2483 子の歳に近き歌友に囲まれて何時しか古き語り部となる #2484 夏休み孫のナナハン…

#2476-2480 人目には・・・

福知山市三俣 生野神社 <義母の短歌>#2476-2480 #2476 人目にはタフで陽気な八十歳愚痴は申さず詠むまろき歌 #2477 つつましく匂うと見れど合歓の花貴婦人のごと空指して咲く #2478 目が意思に動きて憚る何もなきひとり暮らしの重さと軽さ #2479 歌なくば…

#2471-2475 母の日の・・・

福知山市三俣 景福山長川寺(曹洞宗) <義母の短歌>#2471-2475 #2471 母の日のカーネーションに銀杏葉を伴侶の如く添えて愉しむ #2472 痩畑に似合わぬ美しき羽たたむ川蝉といる挿絵のごとく #2473 止むと見て鎌砥ぐわれに今すこし憩えと降るか再びの雨 #24…

#2466-2470 水温む・・・

福知山市三俣 景福山長川寺(曹洞宗) <義母の短歌>#2466-2470 #2466 水温む四月の蛇口全開し泥の手洗うひと日を洗う #2467 打ちかえす雨上りの畑黒々と土本来の色に輝く #2468 むっつりと立ちいるのみに頼もしき山に守らるわが住む里は #2469 ロボットの…