義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

#271-280 心せく・・・

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関西花の寺25ケ所 第2番 楞厳寺

 

<義母の短歌>#271-280

心せく何に残さん此の彩を紅葉は日毎褪せゆくものを


いとけなき山茶花の花咲き初めて花びら早も地を彩る


朝風にマフラーなびかせ過ぎし女若さみなぎる風まき散らし


緑葉に産みつけらりし金色の卵つぶさに潰しゆく爪


文書きつつ涙こぼしぬ老ゆる身に夫なく子なき恩師思いて


人間の歩むとすれば何里ともひたすらに這う蟻の根性


白菜を数枚剥ぎて切り漬けのままごと染みるも何時か馴れゆき


抜き立ての大根おろしさわやかに舌に生きてる辛さの味覚


フイルムに収め得ざりし落日をともに称える人なく佇てり


落日の雄大に遭い釘づけの足許染める名残りの茜

 

<管理人のつぶやき>
佇てり(たたずみてり)
遭い(あい)