義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

#261-270 心地よき・・・

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関西花の寺25ケ所 第2番 楞厳寺

 

心地よき眠りを欲りて飲む酒は浮かれもせなく麻痺呼ぶ五体


絶望と言うにあらねどだらだらと醒めてかじれるパンは乾きて


昼暗き峡の山岸明るめりハゼ燃え立ちて限りなき彩


雨の夜落ち葉を叩く紋様のワイングラスのかすかに揺らぐ


竹三本伐りだす事に意義のあり人の知らざる私の心


陽のさせば何か求めて立ち上がる為さずとも済む草などむしり


静けさに馴るると言えども寒ざむと雨音聴けば人を恋わしむ


霜畑の花魁草は寒ざむと装いており夕べを匂う


饒舌の果てるときなく熟女らは黄昏れ忘れて昔を語る


手を掛けぬ白菜ひとつ捲きおれば頭をさげて戴き帰る

 

<管理人のつぶやき>
欲りて(ほりて)・・欲しがって
醒めて(さめて)
伐り(きり)
花魁草(おいらんそう)
装い(よそおい)
捲き(まき)