義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

#251-260 旅をせんか・・・

f:id:okamura920:20220208191800j:plain

関西花の寺25ケ所 第2番 楞厳寺

 

<義母の短歌>#251-260

旅をせんか宴げ開くか女等は言葉に酔いて会過ぎてゆく


残照に緑彩られたる黄金雲奥処にかがやく菩薩おわすや


水底の砂利に重なる紅葉の影を揺らして尾びれきらめく


欲しらぬ幼きもののいとしかり澄める瞳に神宿らなむ


侮れる秋の夕立ちのしぶきおりけぶる視界をよぎりゆきしもの


灯りひとつともせるままに出でゆきぬ暗闇さぐるひとりの戻りに


耳底に啼く蝉の音のはたと止み又啼き出せば音色変われる


母吾れの想いの深さも四十路の子満たす術なく帰路をうながせり


足早に過ぎゆく秋の気配する夕暮れ刻の翳あわただし


藪椿ひともと剥がれ川べりのせせらぎに水漬き蕾つけいる

 

<管理人のつぶやき>
奥処(おくか)・・奥深いところ
翳(かげり)
ひともと・・一本だけ
漬け(つけ)