#311-320 思うまま・・・
<義母の短歌>#311-320
思うまま花咲かせゆく雨の日の絵の具と筆をこよなき友に
音もせで終のひと葉を散らすとき紅葉はすでに新芽を抱く
緑濃き葉陰に産声あげるごと椿の紅い開きそめたり
頁繰る指しなやかにそらせいる若き患者は面あげざり
只今と声に出せり闇深く応えなき家の灯りをともす
読む書に小さき虫は動かざり頁繰りなば消えゆく命
せせらぎの飛沫を受けて猫柳岩のくぼみにじわり根を張る
すすき野の続く棚田に見えかくれ一軒家あり庇ひかれる
減反に驕るすすき野飛ぶ鳥の温くきねぐらも幾つかあらむ
醒めきらぬ耳にひたひた細雨音吾頭蓋にも霧と降りくる
<管理人のつぶやき>
庇(ひさし)
驕る(おごる)
醒め(さめ)
細雨(さいう)
頭蓋(ずがい)