義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

#311-320 思うまま・・・

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関西花の寺25ケ所 第2番 楞厳寺

 

<義母の短歌>#311-320

思うまま花咲かせゆく雨の日の絵の具と筆をこよなき友に


音もせで終のひと葉を散らすとき紅葉はすでに新芽を抱く


緑濃き葉陰に産声あげるごと椿の紅い開きそめたり


頁繰る指しなやかにそらせいる若き患者は面あげざり


只今と声に出せり闇深く応えなき家の灯りをともす


読む書に小さき虫は動かざり頁繰りなば消えゆく命


せせらぎの飛沫を受けて猫柳岩のくぼみにじわり根を張る


すすき野の続く棚田に見えかくれ一軒家あり庇ひかれる


減反に驕るすすき野飛ぶ鳥の温くきねぐらも幾つかあらむ


醒めきらぬ耳にひたひた細雨音吾頭蓋にも霧と降りくる

 

<管理人のつぶやき>
庇(ひさし)
驕る(おごる)
醒め(さめ)
細雨(さいう)
頭蓋(ずがい)

 

<管理人の今日>
朝の雪グツグツと踏む10cm