#301-310 湯豆腐に・・・
<義母の短歌>#301-310
湯豆腐に小さきパックの半分を煮たてる湯気にひとりの夕餉
まなうらに煙り吐く汽車浮かべつつ軽がる走るディーゼルをみる
目のさきに迫りくる冬沈黙の秘み事抱く魔女の如くに
初雪はふうわり落ちて消えゆきぬ一夜の宿も得られぬままに
日の暮れに米研ぐ事をわびしみて求めしお握りみ祖に捧ぐ
雨けぶる昏れがての道待たれいる錯覚なれど脚を早める
白壁にボール投げかくごとくにも頼りなくいる口きかぬ昼
ビニールのハウスに黒豆干されいて法連草も冬を休みぬ
柿くわえ鴉啼かずに飛び立てり枝に揺れいる残されし赤
軽トラで野良さす夫婦窓越しに掌を振りゆけり農ひとすじに
<管理人のつぶやき>
まなうらに・・眼の中に
昏れ(くれ)