2022-05-03 カテゴリー:自然・季節(一) 自然・季節 関西花の寺25ケ所 第10番 摩耶山天上寺 手作り短歌集に蒐集されている短歌を、11のカテゴリーに分類いたしました。 義母の手作り短歌集(一)巻に掲載された432首の内、四番目に多く(50首)が含まれるカテゴリー【自然・季節】に分類した短歌を掲載いたします。 <義母の短歌 カテゴリー:自然・季節(一巻掲載50首)> #1 白鷺の群れて舞い立つ秋の空友禅模様の絵を曳く如し #9 如月の半月高く懸る道冷気の肌刺しうつむきて帰る #10 棕梠の葉が杉木立縫う木洩れ陽に揺れているなり三月の風 #13 春雷のとどろきゆける部屋隅に叱られし童の如く座れり #15 地を這える薄き影なり脚曳きて淡陽が中を家の門入る #31 散弾のふりそそぐ如はじけ飛び雹音立てて地上をまろぶ #34 初夏の陽は白く乾きて屋根に照る麦藁帽子の影も濃き今日 #36 初夏の陽にゆたに実れる小麦の穂見渡すかぎりを一彩に染める #38 夕立の雨粒地表を走る時乾ける土が一瞬を匂う #39 庭の雪積もりしままに黄昏れて唇重く早く戸を繰る #63 雲裂きて走る稲妻まなうらを貫く如き瞬の戦慄 #71 半夏生白き被衣のひそとしてやんごとなき姫おしのびの絵図 #79 降り続く雨に渦巻く濁流が潜没橋を呑まんとして猛る #81 天地に母ある如く柔し雨一滴残さず土に透み入る #122 ゆるゆると廻る舞台も今し秋人も緑も衣かえゆく #125 わくら葉の散りしく谷を流れ継ぎ陽を浴ぶ水の透きてこぼるる #141 花蘂の中に没りゆき蜜を吸う蜂も見えざり何時しかに秋 #147 円筒の断面に似る夜半の月感情のなきまま地上を照らす #170 吹く風のながさるるにか いずくより烈しく来たりて戸を打ちやまず #174 夜風受けコトコトと鳴る窓ガラス夏には聞かず季深みゆく #191 秋茄子の艶持つ紺に雪の日の毛糸をおもう肌寒き朝 #198 落柿に憩える蝶の羽根破れて終の近きか動きのにぶく #199 草踏めば飛び立つ虫の小ささに生い立つ秋の日数足りるや #206 川風に吹上られし花吹雪信号待つ間の虚空を踊る #216 芒原に佇つ肩撫ずる風かそか旋律に似て耳底になる #220 胸寒く秋雨の音ひたひたと眠れぬ夜の無聊をつつむ #225 雲みよと子は声弾ませて我を呼ぶ見慣れし峡の夕茜雲 #246 襞深く秘めし繰り言時に吐くと誘い出させる霜月の風 #248 カレンダー剥げばうすきが壁に揺れ人重ね着をまさぐる朝 #255 侮れる秋の夕立ちのしぶきおりけぶる視界をよぎりゆきしもの #257 耳底に啼く蝉の音のはたと止み又啼き出せば音色変われる #259 足早に過ぎゆく秋の気配する夕暮れ刻の翳あわただし #271 心せく何に残さん此の彩を紅葉は日毎褪せゆくものを #287 ひとときを人の称えし紅葉の散りては芥吹き溜るまま #304 初雪はふうわり落ちて消えゆきぬ一夜の宿も得られぬままに #312 音もせで終のひと葉を散らすとき紅葉はすでに新芽を抱く #341 庭に散る落ち葉カラカラ吹き溜まり窓にも季の移ろいてゆく #346 秋深む草むら踏めばこおろぎの老いたるひとつよろばい出でる #351 とどめたき野の草落ち葉の彩よせて色紙に残すひと掬いの秋 #354 ひた走る車に入るくる秋の風生きて味わう今日の匂いを #355 岸と畔と境分かたぬ草もみじ黄の原茫茫と黄昏れるなか #356 それぞれに使途あり葉陰のあばた柚子湯船に浮かす二つ三つ #363 裸木の枝軽がると天仰ぐ縫いし錦地にかえして #367 クルクルと渦にもまれるわくら葉を掬いて何と言うにあらねど #376 川霧のたちまち視野けぶらせて我が佇つ地の揺らぐ錯覚 #378 燃える夏水なき石に苔とあり今青あをと軒しのぶ生う #404 裸木は飄々と佇ち口重きもののふのごと冬を迎える #407 驕りいし柔きくずの葉黒ずみて霜の下りしを萎へつつ語る #430 吹き溜まる溝のわくら葉はや朽ちて裏庭さぶし冬の翳さす #432 ありきたりの賀状したため添書きにひとりひとりの面影浮かべて <管理人のつぶやき> ■憲法の 記念日今年もやって来た そろそろ真面目に 考える時