義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

カテゴリ:家族(一)

関西花の寺25ケ所 第10番 摩耶山天上寺

 

手作り短歌集に蒐集されている短歌を、11のカテゴリーに分類いたしました。

義母の手作り短歌集(一)巻に掲載された432首の内、五番目に多く(40首)が含まれるカテゴリー【家族】(息子・娘・孫など)に分類した短歌を掲載いたします。

 

<義母の短歌 カテゴリー:家族(一巻掲載40首)>

#6    線香の薫りかそかに残れるを孫には告げずお下がりを喰む


#27    孫といて病む脚忘れ縄跳びに入りし脚が土を離れず


#28    農に明け農に終りし父母が夢にも野良着で在す切なさ


#29    病む我を連れて帰ると云う嫁の飼猫の顔が唐突に浮かぶ


#30    肩少しゆがめて歩く亡父に似て肩下げし人駅より出でくる


#51    諦める端から待ちぬ土曜日は車の着く音夜の更ける迄


#55    帰らぬと知りつつ煮物ならべゆき何を夢みる親子ごっこ


#73    待ちわびる夕立過ぐる如息は去りぬ一刻残る涼はありても


#74    「エッ此れが竹の子なの」と街に住む孫の仰げる若竹の葉


#78    父母は土葬なりしを此の下にみ姿ありやと踏みをためらう


#80    野に慣れぬ汝は日陰のどくだみよ笠忘れるなと姑言いくれし


#87    夫逝きて離れ住む息の戸主代理残る幾とせ勤め切れるや


#91    別れ告げドア閉まる音背に聞く裾這い上がる安堵と孤独


#124    土なきに芽吹き子をもつ古馬齢の皺に明治の母を重ねる


#130    明日去るを互いに触れずスーパーに夕餉の材を親娘で充たす


#142    東路に名医のありて来よという老いには遠き千葉に住む娘よ


#163    散水の虹に子供を遊ばして幼に語る童話一こま


#173    我が耳に寝息届くる墓参の息彼岸の夜に疲れて眠る


#179    はばからず幼に還り語りかくる石になりても母優しかり


#204    風除ける厳にも似て祖父の愛貧しき幼を支えくれしが


#224    逝きし姑何ぞ嬉しき日のありやなし浮かぶ面輪の髪乱れいて


#226    此の空は俺のものだと家の棟を見上げ青空子は称えおり


#227    子の尾燈坂に没りゆくまでを佇つ逃れる術なき夜の静寂


#229    子と交わす会話の途切れしばしばに佇みにタバコをふかすに足らう


#247    窓少しあけて子を待つ帰らざる報せを受けてもなほも待ちいる

 


#254    欲しらぬ幼きもののいとしかり澄める瞳に神宿るなむ


#258    母吾れの想いも深さも四十路の子満たす術なく帰路をうながせり


#285    案じられぬ母でありたく自負しつつ子を恋いやまぬもひとりもあり


#286    子を送る母の姿か芒穂の揺れに揺れつつ野の風に佇つ


#335    荷をほどく娘の喜びを吾がものと疲れ曳きつつ柿おくりきぬ


#366    裏軒に味深めゆく新漬けの母の味よしと子の喰むを待つ


#412    子の帰る報せにともる奥処の灯大根洗い白菜を引き


#415    ひるの月透きてかかれり子の傍で仰げばとみに美しくあり


#417    思い出す姑炊きくれし芹飯の飢えいる舌にうまかりし事


#418    こんにゃくを温めて湿布せよと言う我が足案ずる娘よりの電話


#422    子の帰路の景色浮かべ刻はかり車の音の度に顔上ぐ


#423    案ずるなと言葉に出さず子に伝え澄ましてかむる赤茶のベレー


#425    我が涙こぼれる間は生きていて欲しと子はいたわりを熱く伝える


#426    我が頭上一尺高き子の声が星の名称語りくれいる


#431    子や孫の集う新春故目出度しと漬け物大根洗い干しゆく

 

<管理人のつぶやき>

■目に青葉 空も青色 みどりの日

 

<今日のチョッとウオーク>福知山城周辺をチョッとウオーク 2.5km

福知山城

福知山市植物園にも