義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

カテゴリー:時代・時(一)

関西花の寺25ケ所 第11番 永澤寺 ご朱印

 

義母の手作り短歌集(一)巻に掲載された432首の内、九番目のカテゴリー【時代・時】(21首)に分類した短歌を掲載いたします。


<義母の短歌 カテゴリー:時代・時(一巻掲載21首)>

#19    大真面目に竹槍の稽古つけられし悪夢の時代の紙芝居わらえり


#21    透み通る明治の教えうちにあり我れ神風をうたがわざりし


#24    十銭を汗ばむ程に握りしめ大神宮祭の出店なつかし


#93    生き来しの異なり言いて棚下に級友と喰む白桃は甘し


#94    昭和初期小娘の日当十八銭米一升は購えざりし


#190    世は移り腕白どもの影はなく群れてはじけるあけびのあくび


#195    さつも芋味覚を変へる舌の上戦後の鍋の芋飯が顕つ


#196    貧しき鍋八人もいて囲みしに喰みたる人等幾人逝きしか


#202    詣でとは従いゆくのみ坂下の出店に心馳せし幼日


#203    足許に落ちていた一銭嬉しかり使う使はぬに心ふるえし


#233    子育てに面やつれするうつし絵の実母見て我は良き世に生まれる


#249    時雨空蜘蛛の巣糸をさながらに文化を支える電線の雫


#250    高きみず満ち足る事が仕合せと言いたる人が寂しさに病む


#330    ふと聴けば世にも不思議なアナウンス男性自立の講習会とは


#337    栄えゆく大江の町の変貌に我がまなうらの河守崩るる


#391    真夜の戸を叩く少年道をききシンナー匂う友曳きずりて


#392    真夜を醒め方位も失いさまよえる若者の脚どっと倒れ入る


#393    送りやる少年の名を知らぬまま走らす車に親の面輪顕つ


#394    アクセルを踏みつつ鼓動昴まりぬシンナーの呼ぶ豹変おそれて


#395    真夜の街下車する少年深ぶかと頭さげたり憎めぬ姿


#396    日を経るに一度素面で語りたし我にかかわりなき事乍ら

 

<管理人のつぶやき>

■つばめ飛ぶ 水いっぱいの 田植かな