#281-290 農捨てて・・・
<義母の短歌>#281-290
農捨てて今更にかなし夢路にも背に汗して草けづりいる
いたずらに夜を点せる灯り消し自らの姿闇に見つめる
雨除けて蛙飛びこむ軒下に暫しならびて降る雨を見る
渡り鳥振りかえらずに去ると言う捨て切れぬ想いに人は寂しむ
案じられぬ母でありたく自負しつつ子を恋いやまぬもひとりもあり
子を送る母の姿か芒穂の揺れに揺れつつ野の風に佇つ
ひとときを人の称えし紅葉の散りては芥吹き溜るまま
夫逝かせひとり住む女等集いきてつましき宴の笑いに酔えり
一枚の運転免許は羽根持ちて気の向くままに我を伴う
毬飛ばし幼遊びしグランドに手袋片方露に濡れいる