義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

#281-290 農捨てて・・・

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関西花の寺25ケ所 第2番 楞厳寺

 

<義母の短歌>#281-290

農捨てて今更にかなし夢路にも背に汗して草けづりいる


いたずらに夜を点せる灯り消し自らの姿闇に見つめる


雨除けて蛙飛びこむ軒下に暫しならびて降る雨を見る


渡り鳥振りかえらずに去ると言う捨て切れぬ想いに人は寂しむ


案じられぬ母でありたく自負しつつ子を恋いやまぬもひとりもあり


子を送る母の姿か芒穂の揺れに揺れつつ野の風に佇つ


ひとときを人の称えし紅葉の散りては芥吹き溜るまま


夫逝かせひとり住む女等集いきてつましき宴の笑いに酔えり


一枚の運転免許は羽根持ちて気の向くままに我を伴う


毬飛ばし幼遊びしグランドに手袋片方露に濡れいる

 

 

<管理人のつぶやき>
芒穂(すすきほ)
芥(あくた)・・ごみ