カテゴリー:人・子供(ニ)
手作り短歌集(ニ)に蒐集されている短歌を、11のカテゴリーに分類いたしました。
短歌集に掲載された280首の内、七番目に多く(21首)含まれるカテゴリー【人・子供】に分類した短歌を掲載いたします。
<義母の短歌 カテゴリー:人・子供(ニ)>
#442 指程の虫に逃げ出す幼子が靴音たてて蟻追いまわす
#543 からすの芋鴉の豌豆からす瓜嫌な鴉に人らは近き
#554 夜の更けに無言電話かけてくる侘しき人よガム噛むらしき
#560 燃えぬ芥捨てて帰るさ行交える人も独り居小さき袋
#579 懸命に手話にて語る人に対いうなずく女のやわらかき笑み
#580 桃食べに来よという友は乳癌の手術なせりとさりげなく言う
#587 Tシャツの赤さが広場に浮きたちてひとり鞠蹴る峡の少年
#604 下校の児乗せやればはなやぐ第一声「オバちゃん運転うまいね」
#607 花柄のシャツの少年髪赤くむなしきままに空缶を蹴る
#611 聞く耳持たねば言葉もただに音に聴く人の背かなしくてならず
#616 聞き慣れる欝の字枠に収まれり飼い馴らしゆくペットの如く
#622 人は皆いづくを指すや渋滞のなかのひとりに我が行く方も
#628 待つのみの古きおみなを連想す直立のまま黄ばむ半夏生
#637 ピエロ役こなしてわれの人前にほがらほがらとやがて寂しく
#638 たくましき男等画面を闊歩する刑事ドラマのひとりを視つむ
#639 みどり児は母の腕にビードロの柔き唇溶けて眠れる
#653 争いて尖れる声もややに笑む独りにあらぬ若夫婦の会話
#658 夕茜とどかぬ芒の陰に居て畑打つ翁は明治生まれなり
#685 過去持たぬみどり児何を夢みるか笑まう唇によだれの透りて
#694 丸木橋渡る童は風の子吹かるるごと枯れ野に消ゆる
#697 かたつむりにマッチの箱を曳かせては玩具なき子を遊ばせたし