義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

カテゴリー:人・子供(ニ)

関西花の寺25ケ所 第14番 興聖寺

 

手作り短歌集(ニ)に蒐集されている短歌を、11のカテゴリーに分類いたしました。

短歌集に掲載された280首の内、七番目に多く(21首)含まれるカテゴリー【人・子供】に分類した短歌を掲載いたします。

 

<義母の短歌 カテゴリー:人・子供(ニ)>

#442    指程の虫に逃げ出す幼子が靴音たてて蟻追いまわす


#543    からすの芋鴉の豌豆からす瓜嫌な鴉に人らは近き


#554    夜の更けに無言電話かけてくる侘しき人よガム噛むらしき


#560    燃えぬ芥捨てて帰るさ行交える人も独り居小さき袋


#579    懸命に手話にて語る人に対いうなずく女のやわらかき笑み


#580    桃食べに来よという友は乳癌の手術なせりとさりげなく言う


#587    Tシャツの赤さが広場に浮きたちてひとり鞠蹴る峡の少年


#604    下校の児乗せやればはなやぐ第一声「オバちゃん運転うまいね」 


#607    花柄のシャツの少年髪赤くむなしきままに空缶を蹴る


#611    聞く耳持たねば言葉もただに音に聴く人の背かなしくてならず


#616    聞き慣れる欝の字枠に収まれり飼い馴らしゆくペットの如く


#622    人は皆いづくを指すや渋滞のなかのひとりに我が行く方も


#628    待つのみの古きおみなを連想す直立のまま黄ばむ半夏生


#637    ピエロ役こなしてわれの人前にほがらほがらとやがて寂しく


#638    たくましき男等画面を闊歩する刑事ドラマのひとりを視つむ


#639    みどり児は母の腕にビードロの柔き唇溶けて眠れる


#653    争いて尖れる声もややに笑む独りにあらぬ若夫婦の会話


#658    夕茜とどかぬ芒の陰に居て畑打つ翁は明治生まれなり


#685    過去持たぬみどり児何を夢みるか笑まう唇によだれの透りて


#694    丸木橋渡る童は風の子吹かるるごと枯れ野に消ゆる


#697    かたつむりにマッチの箱を曳かせては玩具なき子を遊ばせたし

 

 

<管理人のつぶやき>

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