義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

カテゴリー:時代・時(ニ)

関西花の寺25ケ所 第14番 興聖寺

 

手作り短歌集(ニ)に蒐集されている短歌を、11のカテゴリーに分類いたしました。

短歌集に掲載された280首の内、八番目に多く(13首)含まれるカテゴリー【時代・時】に分類した短歌を掲載いたします。

 

<義母の短歌 カテゴリー:時代・時(ニ)>

#474    乙女とはまだよべざりし十三才紡ぎたる工場の窓破れしまま


#490    茄子の葉もて繭を繰り糸を引く古きを辿る刻をいとしむ


#499    常小屋に初めて視たるトーキー映写は荒木陸相の演説なりき


#503    一尺の糸も無駄なく使いたりし七十年を反古には出来ず


#509    自転車の空気はいつも抜けている納屋に置かれる古き分身


#520    戦いの日々に短き青春過ぎ流さるるごとく母となりにし


#585    手もて廻す発動機にゆく木炭車の在りし日茫々と眼裏残像


#613    遠足に人と離れて妹と貧しき弁当食みしを忘れず


#660    刃物屋の無愛想な髭親父笑わぬことが舗の看板


#698    天秤棒かたげぬ日のなき古き農思い起こせば呪いのごとし


#699    雨上がりに合羽脱ぐ間も惜しみいて田の草取る背に熱かりし太陽


#700    事ごとにおなごのくせにと怒鳴りたる舅も老いては穏やかなりし


#701    信じられぬ思い出ひとつ夫征きわれ牛使いて代掻きしこと

 

 

<管理人のつぶやき>

■村作業 話題はシカとイノシシと