義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

カテゴリ:人・子供(三)

関西花の寺25ケ所 第15番 岩船寺

 

手作り短歌集(三)に蒐集されている短歌を、12のカテゴリーに分類いたしました。

短歌集に掲載された308首の内、5番目に多く(24首)含まれるカテゴリー【人・子供】に分類した短歌を掲載いたします。

 

<義母の短歌 カテゴリー:人・子供(三)>

#729    観光バスに調子外れの歌唱う男の心本日晴天


#733    酔う人の足に程よき月明かり濁声ともに影吸われゆく


#737    目を凝らす闇にうつそみ抜けいでて紡徨う魂か蛍光妖し


#740    人群れを吐き出すラッシュのバス停に夕餉気にする主婦等の早口


#742    水槽に額押しつける髭男魚のほ頬桁が笑ったような


#788    稀れまれにも揺らすものなき山里のブランコ地まで垂れて幾とせ


#792    木瓜の棘指にするどし大切な人病み給う痛みを刳る


#816    飢え叫ぶ獣のごとくバイク音闇貫けり何昂ぶれる


#822    見えぬ目の視線のずれを吾が受けて濁れる泪に言葉を失う


#835    乱醸に「越の寒梅」味落ちしと酒豪は言えり驕れる嘆き


#841    感情の脱皮なすがに泣き喚く幼なを黙らす蜻蛉のまぐわい


#844    ためらいてひとりし入るレストラン対の椅子に見えぬ人置く


#880    子は傍に深く眠れり語らいのなにとしなくも互みに足りて


#885    打てばひびく会話に足りて帰るさの目に写るものなべてやさしき


#886    幼子の泣き声さえや尊かり老いゆく里の昼の閑寂


#897    突風に吹き上げらるる病葉か立ち退き止むなきホームレス達


#909    糧詰める袋両手に主婦どちの総身にくらしの力漲る


#938    元総理の尤もきびしき貌をみき眉毛の奥の無念のまなこ


#946    異なれるくらしの琴腺ふとゆらぎ友が立ち居のもろもろの音


#950    ドラマいずれも創作なればヒロインの終末せめてやさしくあれ


#966    市場には受け入れられぬ疵りんご辻に売りいる鉢巻き男


#967    偉大なる芸人「横山やすし」の葬襤褄の終の華盛んなり


#990    出でし野の日照雨に濡れし心地なる電話の向こうの人忙しくて


#999    北狐の子別れの話聞き留めぬ歌の師もまた還り来まさず

 

<管理人のつぶやき>

■父の日に 肩こりにきくとマグネット