カテゴリー:暮らし・田舎(三)
手作り短歌集(三)に蒐集されている短歌を、12のカテゴリーに分類いたしました。
短歌集に掲載された308首の内、4番目に多く(24首)含まれるカテゴリー【暮らし・田舎】に分類した短歌を掲載いたします。
<義母の短歌 カテゴリー:暮らし・田舎(三)>
#738 手袋の指先ひと日に破けたる欺く脆きものを軍手と呼べり
#739 ボロ切れになるとも土に還れざる鍬にかかりしビニールとべり
#741 焼石にも水沁むときのあらんかと衰へ知らぬ雑草に挑む
#760 栗拾う耳に記憶の甦る脱穀の音盛んなる昼
#768 もう跳べぬ翅へなへなと打ち叩く蝶のめぐりの草引き残す
#771 物置に仕舞うと積みて三日経つダンボールぐらりとも歩いては呉れぬ
#787 見の限り人影のなき野を渉り電動鋸に木を挽く聴こゆ
#789 飛行音消ぬれば戻る静けさの夜空は蒼き一枚の布
#791 行き止まりの聚落昼を眠るがの空気ゆさぶる乳牛の声
#799 雨溜める空うつうつと藪陰に小さき棟の上る槌音
#804 連休に植えられるべく水張田の粛としひかる峡のくれ昏れ
#806 ひっそりと竹の子ゆがけり村用に不参の昼を落伍者のごと
#849 年毎に祭り太鼓の音細り過疎の深みに里は病むなり
#857 雑音も雑踏もなき里住みに慣れて飛翔の夢うすれゆく
#859 穫り入れの終わりし峡田さむざむと実ることなきひこ生えの揺れ
#865 たまに来て山の空気が美味しなど三日在せし後なら聴かめ
#872 耕して土なる色を取り戻すひといろにしてこのやさしさは
#873 隠れ棲むごとくひっそり墓地浄め翳りそめたる野の怪戻る
#960 いずくにか釘打つ音ののどかなり今日日曜日の光り燦々
#962 府道逸れ余剰のごとき峽路来て胸はり言わん此処が吾が里
#968 「村おこし」意気まく声も聴かずなり柱と頼む人等も老いぬ
#970 視ゆるもの向こう山のみ目を凝らせば裸木ほんのり紅さし初むる
#1015 非農家の方はこれでと許されて喜ぶべきか集会の戻り
#1016 賽銭を投げよとのらす神はなし賽銭なくば盗みもあらじ
<管理人のつぶやき>
■本を読む 面白かった 久しぶり 浅田次郎の 「黒書院の六兵衛」