カテゴリー:動植物(三)
手作り短歌集(三)に蒐集されている短歌を、12のカテゴリーに分類いたしました。
短歌集に掲載された308首の内、3番目に多く(30首)含まれるカテゴリー【動植物】に分類した短歌を掲載いたします。
<義母の短歌 カテゴリー:動植物(三)>
#728 被写体となりて砂丘に立つ駱駝燥けるまなこの視線を逸らす
#730 地の窪みに残る雨水濁りいてそこを世界と遊ぶ水蜘蛛
#750 猫飼わぬ吾が床下に恋猫の憚からぬ声恐れいります
#757 静けさの昼を変わらず黒き猫道を嗅ぎかぎ声なくゆけり
#759 沢蟹の屍乾ける墓碑の前此処に果てるべく来たりしは何
#762 溜糞を橋の真中に憚らぬ闇にゆらいで来たる狸は
#770 野仏の耳のあたりに翅やすめもそもそうなずく蜻蛉のまなこ
#783 せつなげに闇ふるわせて啼きめぐる恋の季節を限られて猫
#796 白き猿吾に抱かるる夢をみきいとしむものを持たずひさしき
#801 容赦なき雨に盛りを失いし牡丹挫折の彼の日に似たり
#812 保健所に連れ去られゆく三匹の捨て犬酷似の貌持ちいたり
#830 コンクリートの裂け目に萌える鶏頭の激しき紅に鋏はいれず
#836 樹下闇藍ひと色に七変化咎めなく纏えるかそけきおどろ
#842 土も木も久びさの雨むさぼりて酔うにかあらん揺れて傾く
#846 花ゆえに咲かねば終れぬ哀しさよ余りに小さき鶏頭の花
#852 滅びえの水吸い上げてなお紅しいまかこぼれんばら妖艶に
#878 おぼおぼと歩む羽子虫その羽根をもて跳びし日ありや
#896 咲く日なく枯れにし沙羅の木火に入れて灰となるまで佇ちつくしたり
#905 倶に住みしねずみ一族捕えたるこの手に干支のねずみは描けぬ
#921 哀れともたくましきとも生ごみの袋ひきずる夜の気配の
#923 拾い来し蝉殻ひとつ机の上に滅びしものも影を持つなり
#941 羽根たたみ歩む鴉の悠然とひとあしごとにうなずきにつつ
#942 彼岸花葉と花倶にある日なき斯かる厳しき愛もあるべし
#964 唐辛子の葉裏に金の卵産みし虫はいづべにゆきて果てしか
#965 鈎吊りの鮭の目玉の濁りつつ買われゆきたり一尾丸ごと
#973 風媒の野蕗萌土に根をはれり流浪の民の住みつけるがに
#984 寒からぬほどの風花無心なりもとより命の重さは持たず
#991 埋め置きて忘れし栗の実探す程鴉の頭緻密にあらず
#992 跳びたてぬまでに壁打ち障子打つ小さき命に背戸開け放つ
#1001 ひょろひょろの毒だみの花白かりき咲くべく生れし石塊がなか
<管理人のつぶやき>
■アジサイの 10万本がそろいぶみ