義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

カテゴリー:風景・景色(ニ)

関西花の寺25ケ所 第14番 興聖寺

 

手作り短歌集(ニ)に蒐集されている短歌を、11のカテゴリーに分類いたしました。

短歌集に掲載された280首の内、六番目に多く(22首)が含まれるカテゴリー【風景・景色】分類した短歌を掲載いたします。

 

<義母の短歌 カテゴリー:風景・景色(ニ)>

#434    夜をこめて雪婆地上を浄めたり此の煌きを猫も走るな


#437    月と我声なくむきあう丑満刻おどろの夜気が影を貫く


#455    臥す虎の姿に似たる奇岩石夜毎せせらぎを干すにあらずか


#456    昼と夜の狭間の山に風もなし刻止まるがに樹木の動かぬ


#457    渦捲ける底いに静寂のありと言う身の揺れるまま揺れて佇ちおり


#469    流れゆく雲を写せる潦おさなの投げる石に砕ける


#486    古ゆ蒼き流れに研がれ来て角ある岩の見えぬ二瀬川


#491    川岸の拓かれて陽を浴ぶ幾つ岩なかに寄りあう夫婦岩あり


#492    水底に尺余すなる大鯰ゆらり影曳く寒中の泳


#498    にわたずみ濁れるままに写しいる立看板のそよろの濁り


#519    ひといろに枯れ葦すだれとたつ河原煩悩払う石塊のなか


#527    此の橋をゆこか戻ろか散歩みち独りに見上ぐるたもとの桜


#551    二瀬川に脚濯ぎたる鬼の子もあるべししんしんと渓流は澄む


#552    杉の秀に昼蛍かと光る露こえ登りくる天の岩戸に


#553    谷深き天の岩戸に人声のたちてさざめく泉ならなくに


#577    出口なき洞に吹き溜まる風の息わくら葉ひとつ陽の隅にあり


#588    燃えつきる生木の燠の赤々と亡びゆくもの夕闇にしるき


#632    吹く風のうねりに生るる彩山の折り伏し川を越えて迫り来


#634    うるおえる花も実もなき家裏にも季はあるなり落ち葉掃き寄せる


#664    戻り来て峡に仰げる月親し椿静けく凍らんとする


#682    目に馴染みの山を見上げ五十年やさしきものはことばを持たず


#687    昏れ際の水面きららに活きづきてうねり昴まる流れ膨らむ

 

<管理人のつぶやき>

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