2022-06-09 カテゴリー:独り・老い(ニ) 独り・老い 関西花の寺25ケ所 第14番 興聖寺 手作り短歌集(ニ)に蒐集されている短歌を、11のカテゴリーに分類いたしました。 短歌集に掲載された280首の内、五番目に多く(24首)が含まれるカテゴリー【独り・老い】分類した短歌を掲載いたします。 <義母の短歌 カテゴリー:独り・老い(ニ)> #443 吾が棲みて子に戻れとは言い難し老いの昂ぶる事もなき峡 #496 命の火いのちの刻がぢりぢりと雨に研がれて捲きとられてゆく #505 ゆくときの歩幅が示す衰えを見乍ら戻る雪の坂道 #510 掛け違いしボタンひとつのずれを知る「しらがに籾」の身に滲む齢 #513 ふと想う下降の終の安らぎかエスカレーターに運ばるるとき #515 ひと組の肌着の渦の洗濯機目盛り通りの刻を動けり #532 誘わるる如く来たりてぽつねんと座るベンチの冷え固かりき #533 おんぶに抱っこ纏りつきし孫達が囲みて言えり「おバァちゃんちっこい」 #539 野にありて戻りて口をひらくなし洗濯物の匂うをたたむ #541 皇太子ご婚儀の午を墓に来て華やぎに遠くひとり草引く #548 信楽の急須に新茶汲みをれどなにも変わらぬひとりの夕べ #555 四分の三の人生越え来たり明日食ぶる一合をきしきしと研ぐ #558 鋸を使いし日の宵つくづくと男手欲しく夕餉を欲らぬ #562 つづまりはひとりの家に安らぐと雑踏ゆ戻り湯桶に流す #571 かたつむり行きつく先を住まいとし振り向きもせずわれも独りぞ #572 傾く樋たぎり落つ雨足のいよいよ侘し暮れてゆく軒 #576 鎌置きて腰を下ろすもひとりなり山の静寂に膝を抱くも #595 率くものも追うものもなき我が常を奥処にたたみ野良着に替える #603 我がともす明かりの破片窓にこぼれあるかなきかの温み地を這う #666 ことごとく葉の散り尽くす裸木はよろうことなき老境に似る #670 消し忘れし二燭が留守を守りいて十日振りなる窓開け放す #672 ぐるぐると感情線は裡めぐり胃のあたりより哀しみは涌く #673 独りにも新年は来る隣家の餅搗く音にむらぎも冴ゆる #679 「今日はお婆ァが居らんのや」笑む老い人が華やぎてみゆ <管理人のつぶやき> ■振り込め詐欺 警察官も見破れず