義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

カテゴリー:独り・老い(五)

関西花の寺25ケ所 第23番 金剛寺

 

手作り短歌集(五)に蒐集されている短歌を、11のカテゴリーに分類いたしました。

短歌集に掲載された238首の内、5番目のカテゴリー【独り・老い】に分類した短歌(17首)を掲載いたします。

 

<義母の短歌 カテゴリー:独り・老い(五)>

#1274    それではと手を振る瞬よりひとりなり車庫より五十歩ますますひとり


#1282    子がひと夜纏いしパジャマ身につけて虚脱の洞の埋めようもなし


#1287    老いと言う文字がどうにも気に入らぬ銀髪のような言葉生れぬか

 

#1288    かなしみは日陰のどくだみ削るとき忍び寄るなり暗く冷たく

 

#1307    むらおさに寸志差し出しそれをもて責任逃れと言うにはあらず


#1343    平穏もときには厳しき世と思ううながす人なき飲食の卓


#1345    幸うすきひと世にあらずひとり居を愉しむ術など常企める


#1353    水入らずのくらしなかりし吾が来し方子の家の団欒ときに羨しき


#1370    建前と本音の狭間やわらかき哀しみはあり孤のうろの眠り


#1376    施錠なし秋の夜長を声立ててテレビに笑いやがてむっつり


#1382    悪いことばかりでもなし雑草の強さ身につくひとりに馴れて


#1398    幟竿の先棒担ぎし肩に滲む痛みは身の程知れとう訓示か


#1410    友といて密なる刻のゆく速さ戻るひとり家濡れてねむれる


#1426    忌憚なく此の身与ける肩もなしテレビを切れば深深と闇


#1437    じっくりと冬越す算段たておかな恃むとすれや自より外なし


#1459    「お迎えを待っているなどそれは嘘」真実生きへの執語る老い


#1481    青く赤くちさく鋭くともる灯に夜昼ひとりの厨守らる

 

<管理人のつぶやき>

■3日めは ほぼ正常に 副反応