義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

カテゴリー:自分・生活(十)

福知山市前田 瑞龍山東林寺(曹洞宗)



<自筆短歌の掲載を終えて>

 昨日までに、義母が書き残し私の手元に残る 2,652首の短歌すべての掲載を終えました。

    今日からは、自筆短歌として最後に掲載した46首を、9のカテゴリーに分類し掲載していきます。

 46首の内、1番目に多く(21首)含まれるカテゴリー【自分・生活】に分類した短歌です。

 


<義母の短歌>カテゴリー:自分・生活(十)

#2610    里人に混じればいささか反叛の匂い放つとみずから思う

#2613    このへやのどこかにかくれている服よ着られず終るが本意でもあるなじ

#2615    三つの鍵それぞれ異る音を持ちわが守られつはたしばられつ

#2616    世に起たむ鎧を脱げば飄々と吹かるる落葉の軽さにいたり

#2617    朗らほがら人には見せぬ裏側のひとりの世界に靄かき分ける

#2619    世に起たむ鎧を脱げば飄々と吹かるる落葉の軽さにいたり

#2620    所有権はまだ我れにあり高速路設置の杭立つ畑の草引く

#2623    片〇く水皺の音か淋しいとほろり宣らせし八十七歳

    (〇印は読めなかった漢字)

#2624    濡れ落葉踏み来しわれも濡れ落葉封書一通投函せしのみ

#2626    知らぬ土地堂々めぐりの迷い道方向音痴ののど乾き切る

#2628    刻埋める何程もなし夕支度開げっぱなしの歌集幾冊

#2632    やんわりと傘開かせる秋時雨ひとり占めゆく円形の空間

#2633    夢とても嬉しき夢あり世に出せぬ宝持つごと唇ゆるむ

#2634    なすことのすべてが大まか剪りすぎしダリヤむりやり押しこめている

#2640    歌を詠む人には細事わが大事身に一本の鋼つらぬく

#2641    男なら山崎方代真似るかも時折常軌を逸したくなる

#2643    どのように生きても日は落ち日は昇る此の身が大事守りてやらな

#2644    為すことのなべて徒労の終焉を締めくくるべし奢りの外食

#2645    かたまりて〇きは老いし星群れと読みたるあとのさても侘しき

    (〇印は読めなかった漢字)

#2649    「いやなのよ」ひとり言ちつつ小さきくも指に潰して後味悪し

#2652    湯に浸りまだまだ死なぬぞこの身体脂肪たっぷり蓄えている

 

<管理人のつぶやき>

■よく詠んだ 二千六百 五十二首