カテゴリ:動植物(四)
手作り短歌集(四)に蒐集されている短歌を、11のカテゴリーに分類いたしました。
短歌集に掲載された238首の内、2番目に多く(53首)含まれるカテゴリー【動植物】に分類した短歌を掲載いたします。
<義母の短歌 カテゴリー:動植物(四)>
#1024 紛糾なす会議のごとし集いくる鴉の声の今日姦しく
#1047 土乾けば先づ水仙の草とらんチュウリップの芽も笑い出したり
#1051 季のきてまんさくの花ひわひわと寄らねばそれと解らぬ程に
#1052 福寿草はたクロッカス野水仙春淡々と黄の彩にはじまる
#1060 散る日なき記憶の中の蓮の花やまとの国の名花と言わむ
#1068 木蓮の花の盛りに逝きたしと寒中空指すつぼみに思う
#1069 葉の揺れて一心不乱に啄める一樹の傍辺足しのばせる
#1071 一文字に擴げし翼飄々と弧を描く鳶に迷いのあらず
#1078 咲くにつけ散るにつけても諸花の一心込めて彩添えるなり
#1085 茣蓙敷きて見るものもなき里桜咲きしずもりて白ほむらなす
#1086 昨夜よりの雨に怠惰の身を起こし鉢にあしたの希望の種蒔く
#1087 われのみに聴こゆる程か音のして小鳥の走る椿の木陰
#1090 土佐みずき枯れしと思う下枝に花つけいたり点れるごとく
#1093 帰化タンポポ野面占むるを偏見のまなこに見下ろす島国根性
#1094 ささ濁る池面に写る花影をこわさぬ程にアメンボ走る
#1095 腐たれ木に虫は虫連れ寄り添える小さき平和わが乱したり
#1103 花桃の繚乱すぎし若葉縫い吐息のような風吹き抜ける
#1104 藤棚の倒れしままの花盛り山鳩の来て地に遊べる
#1105 むらさきの息ほのぼのと地に向きおだまき多くはのぞまぬかたち
#1106 蝶ふたつ明日無きさまに縺れ合い豌豆の花に紛れゆきたり
#1107 花びらの内側見せて崩れゆき紫木蓮滅びへ向かう
#1108 毒秘むる身とは知らずや金鳳花目にはやさしく黄に輝ける
#1112 ひなげしのもっこり殻を脱ぎすてて開くをみても疲れは癒えぬ
#1115 まだ若きどくだみ夏の香を放ち鴬日暮れを鳴きてやまざり
#1119 わが脛を樹木と紛うや蟻ひとつ登り下るを暫しは許す
#1136 鴉にも憂さのあるにかげんなりとひと声ふた声錆トタンの上
#1147 傘をさし人っ子ひとり居らぬ径ひとつ咲きたる向日葵見にゆく
#1149 咲き出づるどの花を庭の王とせんおのもおのもの一心の彩
#1152 聴き馴れし耳にも清し老鴬の啼く音愉しも街人といて
#1154 見慣れたる野猫いづくに眠るとや歩みおぼおぼ草むらに消ゆ
#1155 深窓の女子と言わんねむの花触れなば崩れむ細き花びら
#1165 残し置く小さき鶏頭四・五本のめぐりの草等命拾いする
#1167 脱ぎ捨てし破れ軍手を草の根は縦横無尽にてキルティングなす
#1168 選ばれて花咲かせるは幾粒か余りにちさし芥子の粒子の
#1175 さるすべり今を盛りの花蔭に昨日と同じ想いは抱かず
#1181 灼熱にダリヤの赤も褪せゆけり力及ばぬことばかりなる
#1183 花終る蓮の花托の変貌に女ひと世の移ろいをみる
#1184 蓮の葉に溜る小雨のこぼれては又こぼれては廻る水車か
#1191 池の面に映る緑に戯れて遊ぶ金魚のことさら赤し
#1195 さまざまの屈折ありて陽の目みぬ切り岸に咲くどくだみの花
#1200 黒揚羽バーベナ揺らして跳び立てり蝶には蝶の思惑ありなむ
#1220 花言葉「遅すぎる愛」とう梅もどき鈴成りの実にかそけかる悔
#1221 みずから滅ぶ日知るや根かぎり一期一会を啼きつくす蝉
#1222 夏の庭終わりを告ぐる花ばかり桔梗手折りて待つ返り咲き
#1225 山茶花も椿みず木も花桃もわが植えたればうからに等し
#1226 罠にかかりもがく猪人間をこよなく憎みているやも知れず
#1229 六左衛門村で求めしハンカチに描かれて散らぬ花菖蒲いくつ
#1236 宝石のひとつも持たず小判草咲かせて成らせし小判乾けり
#1250 車一台ようやく通れる舗装路も横切る毛虫に長き道中
#1251 抜殻は形見のごとく葉の裏に世に出て蝉のいのち幾日か
#1252 草引けば花も畑も起ち上るこの清しさに草引き飽かず
#1254 たたかれて平たくなりし蜂虻の象崩さぬ翅のひろごり
#1256 啼かぬ鳥小枝にひとつわれと聴くつくつくほーしとなきしきる声
<管理人のつぶやき>
■戦争は 想像以上の不幸なり 終戦記念日の新聞を読む