義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

カテゴリ:自然・季節(七)

福知山市三和町寺尾 三柱神社

手作り短歌集(七)に蒐集されている短歌を、11のカテゴリーに分類いたしました。
短歌集に掲載された266首の内、6番目のカテゴリー【自然・季節】に分類した短歌(14首)を掲載いたします。

 

<義母の短歌>カテゴリー:自然・季節

#1737    半熟の卵のような気だるさを吹きとばしたり冬の晴天


#1747    背戸開ける腕すり抜けわれよりも先に日暮れの風が吹き込む


#1795    どのあたりを境となして空と呼ぶ冬野を渉る風に言問う


#1812    気紛れな春の訪れ封印を解かれしごとく明るき数日


#1828    雪の匂いありとしなくも手に掬いないものねだり雫なすまで


#1830    闇を裂く冬のいかずち益荒男の怒りに似たるはむしろ清しき


#1842    朝刊は確かに差され朝の月刻惑わせて皎こうと輝る


#1860    ゆるやかに冬はゆくらし溜め水の氷溶けざる寒き日もなく


#1897    白蝶の舞い下りるかと思わせて牡丹雪降る恍惚と降る


#1898    吊されしままの冬服はんなりと疲れを見せて二月逃げゆく


#1901    日照は狭き車中に集まりて冬の上着を脱がせて戯れる


#1902    春一番雪巻き上ぐる壮観を声持て現す言葉を知らず


#1975    時折に空耳ならぬ耳鳴りの何伝えんと突き抜けゆくか


#1993    晴天が三日続けばうかうかと全たき春の中に遊べる

 

<365人の生き方>

■奥さんに 亭主が会社に 行くときは 帰ってくると 思うなと言う

瀬戸内寂聴 作家、僧侶   講演会で一期一会について)