義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

カテゴリー:動植物(六)

丹波古刹15ケ寺霊場 第5番 石龕寺 ご朱印と案内

 

手作り短歌集(六)に蒐集されている短歌を、11のカテゴリーに分類いたしました。
短歌集に掲載された238首の内、3番目のカテゴリー【動植物】に分類した短歌(28)を掲載いたします。

 

<義母の短歌 カテゴリー:動植物(六)>

#1498    実をつけしことなき枇杷の木年毎に徒な蕾の思わせぶりに


#1518    暫くを姿見せざりし野良猫がいたく痩せたる頭を垂れてゆく


#1519    大小の幾匹率きゆく真鯉の背逞しかれば何やら羨し


#1549    霜月になお咲かんとする夏百合の生きえの執か孤高の花びら


#1550    蟻が蟻を曳きゆくを見し夏の日を炬燵の中で思い出しいる


#1552    一本の笹を掴みて岸登る生きて根のあるものの確かさ


#1558    刈りこまれ実なし花なしちんまりと子無きがごとし八つ手と青木


#1562    枯れ芙蓉に毛虫の木乃伊二つ三つなり損ねたる蝶の夢みる


#1575    たんぽぽの黄は神の意志人工の桃花タンポポすんすん伸びろ


#1583    老鶏の静かに瞼閉ずるごと末枯れ傾く鶏頭の花


#1585    花は散り葉桜紅葉時移り冬を眠らん裸木のしずけさ


#1588    花終わる菊の根方に宿命の世継ぎのごとくはびこる新芽


#1597    夕まぐれ前ゆく野兎三つ跳び「お前は誰だ」と耳が振り向く


#1610    みずからに咲かせし花を根は知らず思わぬ所に若芽伸ばせり


#1630    真っ直ぐに伸ぶる外なき葉鶏頭雪被きつつまだ立ちいたる


#1635    突然の雪に慌てる鵯の来てピラカンサの実を陣取れる


#1658    裸木の秀に膨らめる木蓮の莟を包む和毛に拍手


#1659    あら草に人の付けたる名のあれどいとしまるるは百にひとつも


#1666    珍しきのみにて人は瞬かずグラジオラスの冬に咲くとも


#1667    野のすみれ鉢に移すに貰われ子の翳りあらわに衰えしるく


#1668    斑猫とは横洞に跳びいし猫虫か糺す人なくひとり頷く


#1672    塒指す鳥ふたつ三つ点となり白山茶花に闇の集まる


#1676    梅に来て動かぬ鵯よ短かる花の命をついばむでない


#1678    「アー」と鳴く今日の鴉の声重し鳥語知らねばその裡知らず


#1687    うらぶれの野猫よ来世は人間に生れて来よとも吾が言いかねる


#1688    丈低く萌えて刈られて石を這い地下に根を張る凄さよ芝生


#1699    多年草枯るるにあらず前向きに古葉を落とすそれだけのこと


#1722    蕗の薹萌ゆるを待つが愉しみとは思いみる程に侘しきものか

 

<管理人のつぶやき>

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