義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

カテゴリー:自然・季節(六)

丹波古刹15ケ寺霊場 第5番 石龕寺

手作り短歌集(六)に蒐集されている短歌を、11のカテゴリーに分類いたしました。
短歌集に掲載された238首の内、4番目のカテゴリー【自然・季節】に分類した短歌(20)を掲載いたします。

 

<義母の短歌 カテゴリー:自然・季節(六)>

#1504    水仙の芽を研ぐような細き雨鴉も目白も今日は影なし


#1508    やんわりと傘開かせる秋の雨ここな空間ひとり占めゆく


#1510    秘め言を囁くような雨音の次第にたかまり山茶花叩く


#1525    晩秋の日輪するする沈みゆく戻る家あり何をか言わん


#1560    冬の陽はおぼろにかすみ人曳きて若き犬ゆく息荒げつつ


#1563    裸木の寒き空間赤裸々に傷みを晒す木々の下枝


#1568    寒菊の小花しいたげ降る雨の音確かめてゆっくり籠る


#1600    悪食の鴉も喰わぬ渋柿の鈍く光れる霜月のつごもり


#1601    大方が曇天なりし十一月待つ黒豆がなかなか届かぬ


#1608    疎まれて夏を耐え来しつるそばの花は真盛り暫し待て霜


#1613    岩間這う柳の根に降る水に降るかなしきまでに静かなり雨


#1633    積む雪の白きに誘われ残りいる夏のソーメン湯でたくなりぬ


#1636    雪煽るいかずちどどっと鳴りし音昼の炬燵に思い出す耳

 

#1642    寒冷前線居据わる空の飛行音重く響けり夜の冷え厳し


#1646    夜昼のけじめおぼろに冬の川薄闇湛えて暗き音たつ


#1648    容赦なく夢に入り来ておどろなす木枯らしの音うつつ世の音


#1685    ぬばたまの闇に屋根打つ雨音の乱れて激し荒ぶは何神


#1686    何がどう変わるにあらねど圧覚ゆ「師走が何だ」と雀がはねる


#1692    昨日見しコバルト色の冬の川きょうは暗かり水の表情

 

<管理人のつぶやき>

■幸齢者 人に役立つ 事をする 自分の経験 生かせばいいの

(80歳の壁から)