義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

#641-650 瞑る眼に・・・

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関西花の寺25ケ所 第5番 高照寺

 

<義母の短歌>#641-650

瞑る眼に己が自在の古家は累々と起つ低屋ながらに


此の影が我のものかやすんなりと月を背にして長きが愉し


天を指す銀杏黄葉の真盛りにゆらめき靡く落ち葉焼く煙り


明けきらぬ窓に鴉のしゃがれ声からすには鴉の愛のあるべし


ひび割れるひとつの生きを置き去りに米研ぐ水は澄きて溢るる


せせらぎに垂るるもみぢの美しやけし冬菜を洗う媼も去れり


往く先々落ち葉裸か木枯れすすき夕暗の道雨にけぶらう


吹く風のうねりに身を揉むもみぢ葉のざわっーと寒く岸になだるる


うすら陽に残る力をふり絞り咲かんとすらし花魁草なおも


物を煮る匂いを亡夫はよろこべり湯気ぐもる眼鏡の奥に浮かぶも

 

<管理人のおまけ>

瞑(つぶ)る

愉(たの)し

靡(なび)く

溢(あふ)るる

夕暗(ゆうやみ)の

 

<管理人のつぶやき>・・・今日の新聞から

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