義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

#461-470 抱かれて・・・

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関西花の寺25ケ所 第4番 高源寺

 

<義母の短歌>#461-470

抱かれて帰りし幼の残し置く小さな靴の静かな存在


ひと足の歩みがなかに取り落とすふたつ転げし湯呑みが睨む


亡夫の席そのまま空けて変うるなしテレビ斜めにひとりみている


夫ありてうからはらから民宿に蟹食みし日のありひとり蟹焼く


降りしきる雪に視界のしんとして新聞配達の足跡も消ゆ


黄昏の雪を運び来啾啾と音なき夜を耳盲のごと


掌に受くる雪束の間に露となり帰らぬものがお指こぼるる


真蒼なる水の底辺に沈もれる芥のつぶやき我が独り言


流れゆく雲を写せる潦おさなの投げる石に砕ける


コーヒーの香り漂う厨変わらぬコースのパン皿運ぶ

 

<管理人のおまけ>
啾啾(しゅうしゅう)・・小声で力なく泣くさま
潦(にわたずみ)・・ 路上や庭にたまった水
厨(くりや)
<管理人のつぶやき>
■ようやくに コロナワクチン3回目
■会場は 集団接種粛々と