義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

#921-930 哀れとも

関西花の寺25ケ所 第8番 應聖寺 サツキを花衣とした涅槃仏像

 

<義母の短歌>921-930

哀れともたくましきとも生ごみの袋ひきずる夜の気配の


わがたつる音にはあらぬ厨事一泊の娘ねぎきざみいる


拾い来し蝉殻ひとつ机の上に滅びしものも影を持つなり


残りものようやくつきて新しき飯たく匂いに厨明るむ


てのひらの温みに指を庇いつつもどる野径にたつ群雀


曖昧な会話は要らぬ脳天をぐさり貫く歌評の欲しき


そこばくの塩気に足りて白飯の今も昔も変わるなし味覚


奇妙なる安らぎもあり籠り居を人並みとなし雪降りつづく


身の枷のなべて解かれし老坂のかそけかる華歌とう魔もの 


灰色の雲たたまれて降る光り雪に燦たり朗らなる昼

 

<管理人のおまけ>

蝉殻(セミがら)

庇(かば)い

群雀(むらすずめ)

枷(かせ)

なべて・・すべて

燦(さん)たり・・かがやく

 

<管理人のつぶやき>

■火曜日の 吟の教室 終わりけり 我が週末は 火曜日なり