#911-920 それぞれの・・・
<義母の短歌>911-920
それぞれのうつし身庇う傘の群れあるいは闇にうごめく茸
言わずとも聞かずとも通じ合う心血は水よりもまさに濃ゆかり
まるまりて朽葉も寒さ厭うにか身を寄せ合える日向の窪み
押し黙る唇のごとき冬の土盛り上げ動くはもぐらなるべし
人棲みてこの静けさやささ透る冬の光りを目に掬い上ぐ
声落としひとりも良けれと囁き合う無夫のふたりに病はあるな
飲みさしの冷たきコーヒー飲み下し無理に瞑れど明日が見えぬ
戸の外は降りみふらずみ昏れやすく五臓病まねどまなぶた熱し
さきいかを肴に地酒をなめている仏の他に知るものはなし
熊笹の繁りをみれば寿司ひとつ包みてみたし昔主婦なる
<管理人のおまけ>
茸(きのこ)
厭(いと)う・・いやがる
囁(ささや)き
瞑(つぶ)れど
降(ふ)りみふらずみ・・降ったりやんだり、まなぶた・・まぶた