義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

#441-450

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関西花の寺25ケ所 第4番 高源寺

 

<義母の短歌>#441-450

この鎖外せば犬は真先に何を為すかとふとも思えり

指程の虫に逃げ出す幼子が靴音たてて蟻追いまわす

吾が棲みて子に戻れとは言い難し老いの昂ぶる事もなき峡

のうのうと意のまま生くる折りふしを逝きたる人に詫ぶるなるべし

枯れ枝もくらしの芥も火に入れてひとつの区切りさばさばと起つ

国境を越えて芽生えし南瓜苗馴染み実るか日本の土に

藪椿の落花に描く点々の踏み難き色に一花を拾う

冬眠の醒めて陽の下の雨蛙まなこ虚ろに動くともなし

雪の彼岸のたこ焼き屋台も無口なり声を落としてひと舟を買う

七十路の目にたり花の蕊濡れて愁い深かり無気には剪らず

 

<管理人のおまけ>
昂(たか)ぶる
藪椿(やぶつばき)
蕊(しべ)

剪(き)らず

 

<管理人のつぶやき>
■腰重し 確定申告準備せな