#441-450
<義母の短歌>#441-450
この鎖外せば犬は真先に何を為すかとふとも思えり
指程の虫に逃げ出す幼子が靴音たてて蟻追いまわす
吾が棲みて子に戻れとは言い難し老いの昂ぶる事もなき峡
のうのうと意のまま生くる折りふしを逝きたる人に詫ぶるなるべし
枯れ枝もくらしの芥も火に入れてひとつの区切りさばさばと起つ
国境を越えて芽生えし南瓜苗馴染み実るか日本の土に
藪椿の落花に描く点々の踏み難き色に一花を拾う
冬眠の醒めて陽の下の雨蛙まなこ虚ろに動くともなし
雪の彼岸のたこ焼き屋台も無口なり声を落としてひと舟を買う
七十路の目にたり花の蕊濡れて愁い深かり無気には剪らず
<管理人のおまけ>
昂(たか)ぶる
藪椿(やぶつばき)
蕊(しべ)
剪(き)らず