義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

カテゴリー:時代・時(八)

福知山市三和町高杉 薬師堂

 

手作り短歌集(八)に蒐集されている短歌を、11のカテゴリーに分類いたしました。
短歌集に掲載された378首の内、八番目のカテゴリー【時代・時】に分類した短歌(21首)を掲載いたします。
 

<義母の短歌>カテゴリー:時代・時(八)

#2033    思い出は仄かに白き帆を張りて眠りに落ちん狭間にゆるる


#2040    海越えて来たるバナナの値の安さ東南アジアの汗が臭えり


#2064    古びたるでんでん太鼓に残る玉片割れながらわれも弾めり


#2065    職につく乙女の如く淡々と嫁ぎしわれよ十九の春に


#2066    かまどの火燃えぬ焦りに泪ぐむ夢は十九の花嫁のわれ


#2072    昭和七十四年に満期の保険ありそれまで私の昭和は続く


#2093    閣僚の顔ぶれ並ぶ新聞に蜜したたらせ白桃を剥く


#2096    血も流さずバッタバッタと悪を斬る将軍吉宗今世にあらば


#2141    新世紀に向けて建てたるモダンな墓彼岸の陽射し浴びて明るし


#2145    無住寺の仁王売られて幾とせか厳つき門に舞う花吹雪


#2146    争いの絶えぬ地球を見下ろして手の打ちようもないお月さん


#2179    ゆらりゆらりルームミラーに消えてゆく山路は還らぬ過去世に似たり


#2217    いねぎわの心のまほらにわらべうた唄うは母かはたまたわれか


#2220    刈り草に腰を下ろして憩う間も時はじんじんわれ置きてゆく


#2223    姥捨ての言葉残れどいにしえも男は短命か爺捨聞かず


#2247    新世紀何が変るか替えなけりゃ接骨院へせっせと通う


#2258    身に叶うひとつあれかし鍛えたる心骨抱きて超えし世紀に


#2259    粛々と越えし世紀に段差なく十年変らぬ朝のトースト


#2371    開発に裂かれ赤肌さらす山哭く夜あらずや冬はことさら


#2372    開発に三たび移転の六地蔵こたびは屋根ある祠得給う


#2374    七たびを生れ変るならそのひと世川辺に遊ぶ鳥もよからん

 

<管理人のつぶやき>

■明日明後日 出かけますので 休刊に