カテゴリー:人・子供(六)
手作り短歌集(六)に蒐集されている短歌を、11のカテゴリーに分類いたしました。
短歌集に掲載された238首の内、2番目のカテゴリー【人・子供】に分類した短歌(36首)を掲載いたします。
<義母の短歌 カテゴリー:人・子供(六)>
#1503 居心地の良さについつい長居せり友は今頃慌ているべし
#1554 もたもたと何言い淀むわたくしの耳はせっかちも少し急げ
#1561 千円の価値は千円タレントは億の借金抱えて笑う
#1566 淋しげな女は居らず文化祭余興に甘酒うどん屋賑わう
#1572 無軌道な少女の素直さ取り戻すドラマの終焉見届けやらな
#1573 西鶴のやすらぎ知らぬひと世映すテレビの前に寂寞といる
#1574 吾が頬を双手に包みなつかしと言いしは惜しや女友達
#1578 鎌当てし傷跡多き左指我武者羅なりしよ若き農婦は
#1584 落葉踏む音のかそけさ人逝きて忘れられゆく虚しさに似て
#1587 歌の友半日私と歌攻めてお腹空かしてみませんかモシ
#1599 免許証取り立ての友祈るごと「待てば何時かは車も途切れる」
#1611 峡に見ぬ朱の染髪を帽子かと惑わせる少年の肩の薄さよ
#1612 骨折せし義弟をおのずから兄嫁の貌声もて励ます
#1616 頰被りの男ふらふら歩みいてもっと降らねば家に居られぬ
#1617 それなりにあんたも老けたと言われたりどっしり太れる婆さん小憎い
#1618 コーヒーを淹れるか淹れぬか一瞬を迷いて止める用なき客人
#1622 ある時は明るく濃ゆくあるときは靄に紛るる人間模様
#1625 ひとりごと聞かれし男己が貌つるりとなでてふっと消えたり
#1626 湯呑み置くすき間なきまで書をひろげ八十媼の学び魂はや
#1634 簡単に死ぬの逝くのと言う勿れまこと迫れば怖しき闇
#1638 金の成る木やたらと殖やす老婆いてもの言わざれば声掛けそびれる
#1640 冬田鋤く人憚りつ二度三度車走らせ傷付きしはこなた
#1647 現役の女匂える八十歳日毎異なるイヤリングの光
#1652 ありてなき人との距離感むっつりと電話器見つめ友を思えり
#1655 半日をしゃべり通してまだ足りぬ夫在る友送る夕暮れ
#1673 スーパーの軒借り過去を売る男誰ぞ買わんか古本の魂
#1684 ゆく蟻の数程喪の服集い来るスターの葬り祭り染みいる
#1694 「婆ァ抜き」「粗大ゴミ」将「濡れ落ち葉」などなどの言葉吐く人を蔑す
#1695 病院はわが別荘と妻見舞う男の抱える黄のばら数本
#1698 叩いても死なぬと言いしが呆気なく喜怒哀楽を忘れし人よ
#1709 前後不覚に酔う人いかなる世に遊ぶ暫時覗き見したくもあるか
#1712 燗徳利冷えてほろ酔う女男の群ゲートボールに上げる歓声
#1726 愚痴泪一切こぼさぬ隣人に我が苛立ちのさらに深まる
#1730 遠景に雨降る径あり無口なりし少女老いつつ華かざさむとす
#1731 冬畑をひとり黙もく打つ老いにやきたてのパンそっと差し出す
#1733 父母ありて吾が子の子が子を持つ事実生きて良かりし煙りにあらず
<管理人のつぶやき>
■面倒な ことほど実は 面白い いやになったら やめればいいよ
(80歳の壁から)