義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

カテゴリー:人・子供(八)

福知山市三和町高杉 春日神社

 

手作り短歌集(八)に蒐集されている短歌を、11のカテゴリーに分類いたしました。
短歌集に掲載された378首の内、七番目のカテゴリー【人・子供】に分類した短歌(24首)を掲載いたします。
 

<義母の短歌>カテゴリー:人・子供(八)

#2048    ジョギングの男霧分け現れて濃霧の壁を額で押しゆく


#2054    乳牛の滝なすゆまりに仰天し奇声を上げる街の子供等


#2068    坪庭を耕し俺が育てしと京より甥がねぎ提げて来る


#2069    父の墓京都に建てると甥は告げ人を恃まぬ男の目なり


#2082    鍵穴にカギさしまま友は留守風のどかなり静けさはます


#2083    乳牛と共に餌食む仔狸に罠仕掛けるなと嘆く牛飼い


#2128    花ひらくたまゆらに会いし心地なりつけしテレビのあき子先生


#2131    雪曇り三日の後の晴天に心はずみぬ逢う人がある


#2142    逢いみての後の便りに温みありときめき新たにまた読みかえす


#2148    八十年生きしが人生ばら色と媼言いけり頼もしきかな


#2156    「鹿が獲れた焼肉するから食べに来よ」お茶にでも誘うように男等


#2188    山里が好きで綾部に腰据えしとノルウェー製のストーブ炊く人


#2221    うつつには遠き夢みしあけぼのの耳くすぐりしあの声は誰


#2227    わが疎むどくだみ鉢に愛ずる子とわれの生きとの小さなひずみ


#2261    喉元に言葉とならぬ言葉溜めみどり児総身でくうくう笑う


#2275    上っ面の言葉位で掬えるか底の知れない人の心が


#2288    野の猫と対き合い長く屈みいる初老の男の背なの寂寥


#2296    水底の小石がゆく水見るように聴いているなり若者の声


#2299    杖捨てて逢いたかったと手に縋る媼座らせ盛る零余子飯


#2300    夜目遠目花は素直に愛ずるべし来し方秘める蔭は覗くな


#2310    かけし声上滑りして消えゆけりひと桁若きグループの輪を


#2311    行商の媼と何やら気の合いて零余子と魚の物々交換


#2334    七日七夜骸のままの孤独死の報せにじんと背筋が痛む


#2356    轢死せる蛇を包みて道脇に寄せいる人の祈りのまなこ

 

 

<管理人のつぶやき>

■ブスになる なんと厳しい 指摘かな 身に覚えある 25ケ条