義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

カテゴリー:独り・老い(八)

福知山市三和町高杉 薬師堂

 

手作り短歌集(八)に蒐集されている短歌を、11のカテゴリーに分類いたしました。
短歌集に掲載された378首の内、九番目のカテゴリー【独り・老い】に分類した短歌(17首)を掲載いたします。
 

<義母の短歌>カテゴリー:独り・老い(八)

#2051    もの言わぬ石に腰かけ体熱を奪われているだぁーれも来ない


#2061    子等去りて畳は広き寒の入り霧降るごときうすら寒き孤


#2094    まゆごもる山繭のみる夢青からんその小世界ひとり居に似て


#2122    降るやみと地より沸くやみ絡み合い窓にはりつくぬばたまの闇


#2165    盆明けのがらんと広き土間隅に発火しそうな消化器とわれ


#2197    てのひらの水洩るごとく子等去りし畳に積まれし座布団の嵩


#2202    追儺の豆に追われて逃げる鬼でもいいわれと遊べや酒酌み合わん


#2229    とおい日もこんな淋しい雨をみただあれも居ない黄昏の庭


#2237    かたくなに独りを通す田舎家に姥捨て山の秋の風たつ


#2262    大波小波打ち合うごとき正月の騒音絶えて聞く雨の音


#2263    七草にあらぬ湯豆腐煮えたたせひとりに戻りし静けさを噛む


#2264    雨靴と日和の下駄をかたかたに履きいるごとき不安いっぱい


#2297    侘しさとひとりの自由を天秤にかければ孤独の重い盆明け


#2306    耳聡きひとりの昼の静けさや検針の人声もなく去る


#2317    待つことも待たるる焦りもなきひとり自由と孤独の押しくらまんじゅう


#2322    瞼なき魚の眠りをみてみたし閑居の昼の想い膨らむ


#2362    盆明けの心の屈折もてあましがらんと広き夜空仰げり

 

<365人の生き方>

■仕事とは 自ら作り 出していくもの

(安井義博  ブラザー工業会長)