義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

カテゴリー:人・子供(五)

関西花の寺25ケ所 第22番 船宿寺

 

手作り短歌集(五)に蒐集されている短歌を、11のカテゴリーに分類いたしました。

短歌集に掲載された238首の内、3番目のカテゴリー【人・子供】に分類した短歌(28首)を掲載いたします。

 

<義母の短歌 カテゴリー:人・子供(五)>

#1259    ス-パーにいずれ差のなき品を選る見知らぬ尼僧に親しみ覚ゆ


#1268    異なれる道に苦しむ友の愚痴諾い聞きいるのみの手助け


#1272    気難しき師の頬緩めし栗おこわ在す思いにいそいそ参らす


#1304    腹立てば「ニコッ」と笑むとうタレントありぽつんとひとり何笑うべき


#1322    わが炊きし栗飯美味しと食む友の貌が見たさに栗の渋とる


#1323    白萩のしだり枝そよろ揺れ遊ぶ床しき庭持つ超モダン人


#1325    酔芙蓉のつぼみようようほぐれ来ぬ盛りの頃はも友来たれかし


#1328    クレーン車巨体ギコギコ軋ませて清しき礼添え道あけ呉るる


#1350    それなりの華あり集う七十路のおんなは女のやさしさ醸す


#1372    師はすでに過去の人なり一周忌の遺影に告ぐる永遠の別れ


#1374    幼な日のわれを知る人大方は逝きしふる里遠くもあるか


#1377    一周忌のあかとき夢に歌の師の一期一会の温顔に遭いき


#1384    秋冷の家籠もり人恋い人を避け蒔くべき春の花種揃える


#1387    地名告げ姓告げぬ人花のみの縁に花苗届けくれたり


#1391    立て板に水流すごとき販売員のそれも生業聞くだけはきく


#1404    あけびの実千切りて呉れし若からぬ男の背に汗の臭えり


#1416    真綿に棘包めるような言葉吐くいずくの地にもひとりやふたり


#1417    飲みさしのわがコーヒーをためらわずのむ若者の産声も知る


#1420    歩けない死にたくないと泣く友を奮い立たせる言葉を知らず


#1431    余りにもむごき老後に耐ゆる友の傍辺を今は早く去りたし


#1434    揺れゆるる板橋渡る夢を見き彼岸の友に手を引かれつつ


#1439    思うこと語りたきことちぐはぐに乱れて虚し宵宮の酒席

 

#1440    孫に近き四人に囲まれ談笑すホスト遊びの真似事じみて


#1446    あんたの声聞きて元気が出ましたと救われたるはわれと思うに


#1447    人は皆忙しかりけり空想の遊覧地図を拡げつたたみつ


#1449    頬こけしフランキー堺に死の翳り纏うと逝きたるあとのドラマに


#1476    手に揺らすブランコ何時か人乗せし記憶のありと言い出しそうな


#1492    女丈夫の波乱のひとよびんびんと胸内貫く言葉に酔えり

 

<管理人のつぶやき>

■4回目 ワクチン接種もう慣れた