義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

カテゴリー:人・子供(四)

関西花の寺25ケ所 第21番 當麻寺西南院

 

手作り短歌集(四)に蒐集されている短歌を、11のカテゴリーに分類いたしました。

短歌集に掲載された238首の内、3番目に多く(25首)含まれるカテゴリー【人・子供】に分類した短歌を掲載いたします。

 

<義母の短歌 カテゴリー:人・子供(四)>

#1023    輪郭のなき貌輪郭のみの貌描かれていずれ性のあやしき


#1026    ひとりのみ甦らせる術あらば苦しかるべしいずれ選ぶも


#1037    信号待ちの車すり抜けるオートバイゆとりを持たぬ孤独のそびら


#1044    待つことの無聊に倦みて取る受話器うしろめたかり刻盗人の


#1050    人の傘足に触れしがきっかけの話し尽きずば去るにも去れず


#1055    地の人の漬けしと聴けばたくわんの色の冴えぬを好みて買えり


#1073    琴線にふれて明るき友の声置きし受話器の匂わむばかり


#1092    「蕗おとるな」誤字も混れど威力あり車のアベック引き返したり


#1096    身めぐりに良き友増えゆく晩年を戸惑うまでの華あるひとり


#1111    切り岸の錦蘭たやすく堀り呉るるたのもしきかな男老いても


#1129    あの人も此の人も皆忙しくて詮なく巡る雨の花畑


#1141    車停め携帯電話掛ける男見えぬ鎖に繋がれている


#1142    かたくなに賽銭上げず手を合わさずそれで素直な女と言えるか


#1153    数秒に思案決まりてCMのベット求める経済観念?


#1159    口開く用なき虚しさ斯かるとき人は此の世の暗部を覗く


#1177    勝敗の厳しき角力に目を逸らす負けの怯えの人一倍に


#1178    少年の茶髪に包む思春期の昂ぶり乗せて跳びゆくバイク


#1189    ひとり住み羨しとみる人ありやなし人恋鳥よ明日は何処指す


#1201    子育てにやつれし母の乱れ髪子供心に梳き上げたかりし


#1204    夜祭りの出店の屋台組む男女の背中に厳しき生業の汗


#1207    「鬱知らず」きっぱり言いきる友のいてまこと鬱とは怠惰の言い訳


#1219    待つことは常なり男買い物の妻待つ長きを書店に過ごす


#1223    わが春を仄かに染めし青年は何処に老いの彩染めいるや


#1224    花のごとやさしき言葉咲かしめて面映ゆきかな似合わぬ女


#1258    蝉の声とみに乏しく迫り来る師の一周忌胸内に重し

 

<管理人のつぶやき>

■久しぶり 30℃を切る残暑かな