#1071-1080 一文字に・・・
<義母の短歌>#1071-1080
一文字に擴げし翼飄々と弧を描く鳶に迷いのあらず
避けきれぬ会席ひとつに身を連ね水泡を掬う虚しさにいる
琴線にふれて明るき友の声置きし受話器の匂わむばかり
めくるめく透きて湯舟に春の水身ひとつ沈むに惜しくもあらぬ
夫の忌月わが生れ月一月はいずれ華なき雪の中なる
深海の暗きに似たる曇天を絞るがごとく細き雨降る
戻り来て厨にたてり一度とても人の手になる夕餉に遭いたし
咲くにつけ散るにつけても諸花の一心込めて彩添えるなり
三人子はまだ幼くてわが歌集読む夫のいる絵のような夢
集会の明かりは消えて押しつけの計画ひとつ決まりたるらし
<管理人のおまけ>
擴(ひろ)げし
鳶(とんび)
琴線(きんせん)
<管理人のつぶやき>
■雨あがり 低空飛行でツバメ飛ぶ