義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

#1071-1080 一文字に・・・

関西花の寺25ケ所 第11番 永澤寺

 

<義母の短歌>#1071-1080

一文字に擴げし翼飄々と弧を描く鳶に迷いのあらず


避けきれぬ会席ひとつに身を連ね水泡を掬う虚しさにいる


琴線にふれて明るき友の声置きし受話器の匂わむばかり


めくるめく透きて湯舟に春の水身ひとつ沈むに惜しくもあらぬ


夫の忌月わが生れ月一月はいずれ華なき雪の中なる

 

深海の暗きに似たる曇天を絞るがごとく細き雨降る


戻り来て厨にたてり一度とても人の手になる夕餉に遭いたし


咲くにつけ散るにつけても諸花の一心込めて彩添えるなり


三人子はまだ幼くてわが歌集読む夫のいる絵のような夢


集会の明かりは消えて押しつけの計画ひとつ決まりたるらし

 

<管理人のおまけ>

擴(ひろ)げし

鳶(とんび)

琴線(きんせん)

 

<管理人のつぶやき>

■雨あがり 低空飛行でツバメ飛ぶ