義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

#727-740 物体の・・・

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関西花の寺25ケ所 第6番 隆国寺

 

<義母の短歌>

物体のごとく伸びいる脚四本工夫は午を深く眠れり


被写体となりて砂丘に立つ駱駝燥けるまなこの視線を逸らす


観光バスに調子外れの歌唱う男の心本日晴天


地の窪みに残る雨水濁りいてそこを世界と遊ぶ水蜘蛛


垂乳根の胎内にいるやすらぎに視界狭めて畑にくぐまる


凡庸に過ぐるがひとりの保身術心平らに畑打ちて足る


酔う人の足に程よき月明かり濁声ともに影吸われゆく


ひと日経て死者の瞼の濃き翳り斯くて釘打つ終焉は来る


娘の来りひと刻愉しむ厨ごと女に還るガスの火燃ゆる


何喰わぬ貌もて生きる七十歳夜叉も仏も身に棲まわせて


目を凝らす闇にうつそみ抜けいでて紡徨う魂か蛍光妖し


手袋の指先ひと日に破けたる欺く脆きものを軍手と呼べり


ボロ切れになるとも土に還れざる鍬にかかりしビニールとべり


人群れを吐き出すラッシュのバス停に夕餉気にする主婦等の早口

 

<管理人のおまけ>

駱駝(らくだ)

燥(かわ)ける

逸(そら)す

凡庸(ぼんよう)

翳(かげ)り

斯(か)くて

厨(くりや)

うつそみ・・この世のひと

紡徨(さまよ)う

妖(あや)し

欺(あざむ)く

欺(もろ)く

 

<管理人のつぶやき>

■近江高 よく頑張った 桐蔭強い