義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

カテゴリー:独り・老い(三)

関西花の寺25ケ所 第16番 浄瑠璃寺 ご朱印

 

手作り短歌集(三)に蒐集されている短歌を、12のカテゴリーに分類いたしました。

短歌集に掲載された308首の内、7番目に多く(18首)含まれるカテゴリー【独り・老い】に分類した短歌を掲載いたします。

 

<義母の短歌 カテゴリー:独り・老い(三)>

#744    湯上がりのビールに重き瞼閉ず晒す胸処に出ずる泪は


#755    なにがなし吊るす浴衣の幾夜経つ着ることもなし丸寝のひとり


#766    ささやかな吾が喰い扶持を守りいつ時折の音冷蔵庫唸る


#773    孤に棲める影をゆらりと夜半起たせ舌に沁みいる魔の水を酌む


#774    声曳かず鴉啼くだにうら寒し新春をひとりの畳の広さ


#775    言うなればひとりに慣るる気易さに音なき家ぬちに命貪る


#781    夜半の水のみど貫く冷たさを寂しむまでは考えるまじ


#782    悲しみの塊のような芥袋固く結えて火中に投ず


#807    庇はれていると言えどもひとりなり柚子の裂け枝ギシギシと挽く


#883    回覧板まわす隣家に営みの構図のごとき掃除機の音


#884    谺なす犬の遠吠え尾を曳きて気寒き夜半の耳に届けり


#932    寝て起きていずれひとりの心の臟胃の腑を促し厨に立たしむ


#933    幽明の境をながく彷徨える老い否看取りの友に泪す


#951    被保護者とならぬ終焉迎えたき願望はあり結果は知らず


#974    気が付けばひと日電話の一本もなかりしことの俄に侘し


#1005    ひとり居をいたわる旅の誘いあり忝のう聴き丁寧に断る


#1008    花の芽を吾が子のごとくいつくしむひとりと言うはやはり侘しき


#1012    闇受けるかたちの三日月冷ややかに人の孤独を見透かしいたり

 

<管理人のつぶやき>

■シカ君よ どうしてくれる今年のアジサイ 花がついたは去年の一割