カテゴリー:独り・老い(三)
手作り短歌集(三)に蒐集されている短歌を、12のカテゴリーに分類いたしました。
短歌集に掲載された308首の内、7番目に多く(18首)含まれるカテゴリー【独り・老い】に分類した短歌を掲載いたします。
<義母の短歌 カテゴリー:独り・老い(三)>
#744 湯上がりのビールに重き瞼閉ず晒す胸処に出ずる泪は
#755 なにがなし吊るす浴衣の幾夜経つ着ることもなし丸寝のひとり
#766 ささやかな吾が喰い扶持を守りいつ時折の音冷蔵庫唸る
#773 孤に棲める影をゆらりと夜半起たせ舌に沁みいる魔の水を酌む
#774 声曳かず鴉啼くだにうら寒し新春をひとりの畳の広さ
#775 言うなればひとりに慣るる気易さに音なき家ぬちに命貪る
#781 夜半の水のみど貫く冷たさを寂しむまでは考えるまじ
#782 悲しみの塊のような芥袋固く結えて火中に投ず
#807 庇はれていると言えどもひとりなり柚子の裂け枝ギシギシと挽く
#883 回覧板まわす隣家に営みの構図のごとき掃除機の音
#884 谺なす犬の遠吠え尾を曳きて気寒き夜半の耳に届けり
#932 寝て起きていずれひとりの心の臟胃の腑を促し厨に立たしむ
#933 幽明の境をながく彷徨える老い否看取りの友に泪す
#951 被保護者とならぬ終焉迎えたき願望はあり結果は知らず
#974 気が付けばひと日電話の一本もなかりしことの俄に侘し
#1005 ひとり居をいたわる旅の誘いあり忝のう聴き丁寧に断る
#1008 花の芽を吾が子のごとくいつくしむひとりと言うはやはり侘しき
#1012 闇受けるかたちの三日月冷ややかに人の孤独を見透かしいたり
<管理人のつぶやき>
■シカ君よ どうしてくれる今年のアジサイ 花がついたは去年の一割