義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

#201-210 目に見ゆる・・・

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関西花の寺25ケ所 第2番 楞厳寺

<義母の短歌>

目に見ゆるもの皆柔し春草の吾に従う如く過去断つ


詣でとは従いゆくのみ坂下の出店に心馳せし幼日


足許に落ちていた一銭嬉しかり使う使はぬに心ふるえし


風除ける厳にも似て祖父の愛貧しき幼を支えくれしが


廃屋の壁這う蔦の千切れ千切れて風に吹かるる解体の日


川風に吹上られし花吹雪信号待つ間の虚空を踊る


もの飛ぶ音鳥か木揺れか寝ねられず眼ひらきて闇みるばかり


老いひとりを狙う空巣を許すまじ聞き流している警察なおに


胸内吹く疾風はありあるだけの灯りともして歌集ひもとく

 

賑わえる酒座を放れて座す老いの動かぬ視界にあるは空のみ

 

<管理人のつぶやき>
厳(いかい、いかし?)
賑(にぎ)わえる?