義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

#2051-2055 もの言わぬ・・・

福知山市三和町中出 顕龍山興雲寺

 

<義母の短歌>#2051-2055

#2051    もの言わぬ石に腰かけ体熱を奪われているだぁーれも来ない


#2052    ひそやかに呟くごとき煮豆の火闇にしんしん冬迫りつつ


#2053    「ありがとうよくぞ丈夫な歯を呉れて」突然息子が真顔を向ける


#2054    乳牛の滝なすゆまりに仰天し奇声を上げる街の子供等


#2055    サングラス外せば童顔の孫なりきナナハン駆りて墓参に戻り来

 

<管理人のおまけ>

呟(つぶや)く

ゆまり・・小便

 

<管理人のつぶやき>

■寒波来る 今の積雪 0cm 明日の朝は 何センチかな

#2046-2050 生きものを・・・

福知山市三和町中出 顕龍山興雲寺

 

<義母の短歌>#2046-2050

#2046    生きものを飼わぬひとりのつれづれに鴉の歌を今日も詠みける


#2047    用済みの壜の大小それぞれの分限の空気溜めて煌く


#2048    ジョギングの男霧分け現れて濃霧の壁を額で押しゆく


#2049    壺の中の小さな闇の囁きをそのまま閉し買うことにする


#2050    見るまじき鴉の秘密か開けし口喉の奥まで赤く妖しき

 

<管理人のおまけ>

壜(びん)

煌(かがや)く

囁(ささや)き

妖(あや)しき

 

<365人の生き方>

■父いわく 酒を飲むのも 芸のため 千鳥足を 体で覚える

(七代目 中村芝翫 歌舞伎俳優・人間国宝  人の3倍やるには志がいる)

#2041-2045 椿の実・・・

福知山市三和町草山 天満神社



<義母の短歌>#2041-2045

#2041    椿の実捥ぐには惜しき艶持てり椿の意思に任せ置かん


#2042    現実が夢に続きて握りいる双の拳のままに醒めゆく


#2043    紅葉を急ぐまゆみよ陽は高しそれ程急いで先があるのか

 

#2044    雑草に混るトレニア今少し背伸びして咲け思いを遂げ


#2045    打ち返す芽生えしばかりの草の根の白く長きがほぞの緒に似る

 

<管理人のおまけ>

捥(も)ぐ

醒(さ)め

まゆみ・・落葉樹

ほぞの緒・・へその緒?

 

<管理人のつぶやき>

■この寒波 ー5℃と 報道に 大寒過ぎねば 春はこないか

#2036-2040 野良猫に・・・

福知山市三和町草山 天満神社

 

<義母の短歌>#2036-2040

#2036    野良猫になりきれずいる迷い猫生きる道問う生きものの声


#2037    宿命のあごまだ稚きかまきりのすんなりたたむ羽美しき


#2038    抵抗もなく捨ててゆく夢幾つ生きゆく荷物は軽きがよろし


#2039    定着の土を選ばぬ風媒のバーベナ空地に自が春謳う


#2040    海越えて来たるバナナの値の安さ東南アジアの汗が臭えり

 

<管理人のおまけ>

風媒(ふうばい) ・・花粉を風が運んで受粉を媒介

 

<365人の生き方>

■一遍は 谷に降りねば 次はない

(宮本 輝 作家)

#2031-2035 見の限り・・・

福知山市三和町草山 天満神社

 

<義母の短歌>#2031-2035

#2031    見の限り人影のなき野に聴けり谺とかえる鴉の声を


#2032    恙なく生きて生ごみ捨てにゆく髪乱す風なまぬるき夕


#2033    思い出は仄かに白き帆を張りて眠りに落ちん狭間にゆるる


#2034    存在を示すがごとき古き杭わが触れし瞬ころり倒れき


#2035    山鳩の真夜ひとしきり啼きたつるは子鳩に死なれし母かと思う

 

<管理人のおまけ>

谺(こだま)

恙(つつが)なく

仄(ほの)かに

狭間(はざま)

 

<365人の生き方>

■言うときは 大きなことを 言いなさい

(比屋根 毅 エーゼルワイズ会長  ソニー創業者・森田昭夫から教わったこと)