義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

#831-840 騙しきれぬ・・・

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関西花の寺25ケ所 第7番 如意寺

 

<義母の短歌>#831-840

騙しきれぬ己が心をなおだまし闇に紛れて眠らんとする


ぬるま湯にどっぷり浸かり憂きことを聴き留めし耳ねんごろに洗う


わが住みてこの家のいのちの灯はともり軒の花鉢季を違わず


思いきり四肢を伸ばして性別の淡くなりつつひとりの眠り


乱醸に「越の寒梅」味落ちしと酒豪は言えり驕れる嘆き


樹下闇藍ひと色に七変化咎めなく纏えるかそけきおどろ


紛れなき素顔のわれを映す窓拭いて何を消さんとするや


うつつとは関わり持たぬ時空にて醒めてみる夢煙りのごとし


金もなく切符も持たず乗らんとする列車のドアの開かざる夢


目を凝らしもの思うとき天井の節穴突如渦巻き揺れる

 

<管理人のおまけ> 

憂(う)き

越の寒梅・・新潟産地酒

樹下闇(このしたやみ)・・木陰の暗い所

藍(あい)

咎(とが)め

纏(まと)える

うつつ・・現実

 

<管理人のつぶやき>

■カエルの子 音で起こさる トラクター