#821-830 嫁ぎ来し・・・
<義母の短歌>821-830
嫁ぎ来し荷物のひとつ花柄の羽織着物の醒めざる眠り
見えぬ目の視線のずれを吾が受けて濁れる泪に言葉を失う
とりもちのねずみもわれも騒然たりこの家の小さな事件のひとつ
手を合わすたまゆらよぎる迷いあり詣でて何を祈らむとすや
亡き人の手力滲みる古き杭残骨のごときを握りしめたり
焔とて灰にはできぬ人の過去夫婦ぶとんがいま燃えつきる
右ゆくか左ゆかんかたちどまり流れてやまぬ川を見下ろす
乾ききる蝉のなきがら地に揺れて枯れ葉のごとし欝もなからむ
大らかに山は動けり照りながら夏衰えて立つ秋のかぜ
コンクリートの裂け目に萌える鶏頭の激しき紅に鋏はいれず
<管理人のおまけ>
醒(さ)め
たまゆら・・しばらくの間
手力(たじから)・・うでの力
焔(ほむら)
欝(ふさぐ)
<管理人のつぶやき>
■つばめ見る 今日のサクラは 花吹雪