義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

#691-700 割れ硝子・・・

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関西花の寺25ケ所 第6番 隆国寺

 

<義母の短歌>#691-700

割れ硝子思わぬ光を陽に反し光を持たぬ吾が眼を射せり


如月の天を荒びて吹く風の絞る雫か頬打つ氷雨


水底に眠る小石に寝返りを打たせて湍る雪の谷川


木橋渡る童は風の子吹かるるごと枯れ野に消ゆる


草の灰汁滲むTシャツを身につけてわれ一っ端の農婦に還える


雑草に雑草の春あり魁けて犬のふぐりの泪色に咲く


かたつむりにマッチの箱を曳かせては玩具なき子を遊ばせたし


天秤棒かたげぬ日のなき古き農思い起こせば呪いのごとし


雨上がりに合羽脱ぐ間も惜しみいて田の草取る背に熱かりし太陽


事ごとにおなごのくせにと怒鳴りたる舅も老いては穏やかなりし

 

<管理人のおまけ>

如月(きさらぎ)・・2月

湍(はや)る・・速い

灰汁(あく)

魁(さきが)けて

曳(ひ)かせ

呪(のろ)い

舅(しゅうと)

 

<管理人のつぶやき>

桜まだ 今日か明日かと気をもたす つぼみ膨らみはち切れそう