義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

#151-160 庭の実を・・・

f:id:okamura920:20220201090620j:plain

関西花の寺25ケ所 第1番 観音寺(公式HPはこちら

 

庭の実を喰みし返しか播かぬ種の数多芽吹けり鳥宿る木下


蝉の終知る思いする裏山に声を限りに啼きつくす聴けば


うしろみる憂いも持たず妻の座に安らぎおりしか四十五年


その終を知るや知らずや黒揚羽優雅に舞えり秋の黄昏れ


ふり向けば鍬ふるう頬明かるかり癒えたる友の命輝く


シャリシャリと間引き葉喰めば歯に舌に生きる証しの青き味する


一匹の蚊に乱される神経のはりはりと細きなど人待てり


カリカリと鼠しっこく歯音立てて脳神経の髄掻きまわす


もの言わず独りある夜に越前岬の暗き岩打つ飛沫を思う


雀追う案山子は見えず稲刈り跡わだち残れり足跡なくて

 

<管理人のつぶやき>
喰みし(かみし?)、癒え(いえ)