義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

#131-140 稜線を・・・

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関西花の寺25ケ所 第1番 観音寺(公式HPはこちら)

 

稜線を抜き去る一樹もやこめて被く貴人の去り行く後姿


安らかに眠れと弔辞結ばれて別離の扉音なく閉まる


誰の待つ夕餉にあらねば没り陽の中を遠出の虚しき安堵


潰れざる程に押さへる青虫もなかなか死なぬ命持ちおり


月の庭すすきそよがずたたずめり掌熱く襟掻きあわす


去年此処にまむしひそみしうかがえば木株は朽ちて土に還れり


夫婦茶碗汝も寡婦なり捨て難く余生の限り我がそばにあれ


玻り一重隔ての取れぬまま別れあこがれあれば早待つ再開を


水も我も器の型に収まれど折り折り飛沫あげたく想う


悲しみの色持つなどと人言えり花は一世を咲き充ちて散る

 

<管理人のつぶやき>
被く(かずく)、没り陽(いりひ?)、襟(えり)
掻(か)きあわす、汝(なんじ)も、玻(は)り?