義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

#2076-2080 かなしみが・・・

福知山市三和町中出 顕龍山興雲寺

 

<義母の短歌>#2076-2080

#2076    かなしみが沁み入るような春の雨新芽つたいて幹濡らしゆく


#2077    肩よせる肩が欲しいと思う日の心機一転さくら見にゆく


#2078    ひとりなるわれに今日あり明日あり花の開くを待つばかりなる


#2079    鍵っ子に似たる思いのひとり食納豆いつまで掻きまわしいる


#2080    府道逸れ谷川一キロさかのぼる何もなけれどわが桃源郷

 

<管理人のおまけ>

逸(そ)れ

 

<365人の生き方>

■人間の 力は出し切らないと 増えない それがお金と 違うところだ
平尾誠二 神戸製鋼ラグビー部ゼネラルマネージャー  先生の言葉)

 

#2071-2075 小屋代り・・・

福知山市三和町中出 顯龍山興雲寺

 

<義母の短歌>#2071-2075

#2071    小屋代り物置代わりの廃車バス錆びてほろほろ過去を消しゆく


#2072    昭和七十四年に満期の保険ありそれまで私の昭和は続く


#2073    飽食の寺の黒猫金いろに光る目細め煮干をまたぐ


#2074    「人生は渋くて辛くていやなもの」頷きうなずき鴉が歩む


#2075    三分咲き五分咲き満開花吹雪一気に春が駆け抜けてゆく

 

<365人の生き方>

■品質管理 もっと大事は 人質管理

■製品を 抱いて寝たこと 君あるか 抱いて寝たなら ものをゆうんや

■赤字とは 血を流すこと 体から

(谷井昭雄 パナソニック特別顧問  松下幸之助会長に言われたこと)

 

#2066-2070 かまどの火・・・

福知山市三和町中出 顕龍山興雲寺

 

<義母の短歌>#2066-2070

#2066    かまどの火燃えぬ焦りに泪ぐむ夢は十九の花嫁のわれ


#2067    テレビ消し灯りを消していまひとつ消さねばならぬ昼の雑念


#2068    坪庭を耕し俺が育てしと京より甥がねぎ提げて来る


#2069    父の墓京都に建てると甥は告げ人を恃まぬ男の目なり


#2070    もしかして郵便受けを探る指釣れぬ釣り糸手繰るに似たり

 

<管理人のおまけ>

焦(あせ)りに

坪庭・・小規模の京風な庭

恃(たの)まぬ

 

<365人の生き方>

■うぬぼれて 負けるのは 人のせいに

大橋秀行  大橋ボクシングジム会長   ここ一番で負ける理由)

 

#2061-2065 子等去りて・・・

福知山市三和町中出 顕龍山興雲寺

 

<義母の短歌>#2061-2065

#2061    子等去りて畳は広き寒の入り霧降るごときうすら寒き孤


#2062    回礼の和尚の足許軽やかに白足袋ならぬ白スニーカー


#2063    巣立ちたる孫に貰いし年玉の袋楽しむ老いとなりけり


#2064    古びたるでんでん太鼓に残る玉片割れながらわれも弾めり


#2065    職につく乙女の如く淡々と嫁ぎしわれよ十九の春に

 

<管理人のおまけ>

孤(こ)・・独りぼっち

回礼(かいれい)・・年賀に回る

弾(はず)めり

 

<管理人のつぶやき>

■晴れてよし 今日のインフラ 異常なし

 

#2056-2060  幾曲り・・・

福知山市三和町中出 顕龍山興雲寺

 

<義母の短歌>#2056-2060

#2056    幾曲り曲るも車の正面に新生児のごと赤き満月


#2057    トラックに頭を垂れて牽かれゆく眠れる獅子かユンボの巨体


#2058    積まれいる廃車のミラー耳に似てそれぞれの過去聴きいる象


#2059    男なら屋台の酒に憂さ晴らす夕べをきこきこ鍋磨きいる


#2060    半熟の卵のような気だるさを吹き飛ばしたり冬の晴天

 

<管理人のおまけ>

牽(ひ)かれ

 

<管理人のつぶやき>

■今日の雪 予報通りの 40cm  明日の気温は ー6℃