#361-370 蜘蛛糸に・・・
<義母の短歌>#361-370
蜘蛛糸にかかる枯葉のクルクルと廻るを病床の窓に見ていつ
谷川の細る岩間をひとすじの白布垂れるを描く人あり
裸木の枝軽がると天仰ぐ縫いし錦地にかえして
過ぎ来しのこもごも秘める掌に浮かびくるもの醒めた眼でみる
大根を炊けば誰かのいるような鄙びの匂い夜半までこもる
裏軒に味深めゆく新漬けの母の味よしと子の喰むを待つ
クルクルと渦にもまれるわくら葉を掬いて何と言うにあらねど
籠る耳かたむけており戸の外に二、三の女等さざめきゆけば
あかときを醒めて見る夢ひとつあり鉛筆熱く握り直して
霜月の歌会寒し吾が行手遮る壁の厚きを叩く
<管理人のつぶやき>
鄙び(ひなび)
喰む(くらむ)
あかとき(暁)・・夜明けがた