義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

751-760 老鴬と・・・

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関西花の寺25ケ所 第6番 隆国寺

 

<義母の短歌>#751-760

老鴬と呼ばせてなおも澄む声の斉藤史女史然り澄むならん


「死んだなら俺は泣くぞ」とエンジンの音に紛れる息子の言葉


仏との絆次第にふんわりと飛行機雲の末尾に似たり


なりゆきのままに育ちし子に守られて母と言う名の濁るともなし


なにがなし吊るす浴衣の幾夜経つ着ることもなし丸寝のひとり


扇風機の風生温き十三時地獄の鬼も汗拭うべし


静けさの昼を変わらず黒き猫道を嗅ぎかぎ声なくゆけり


閑人と言われても良し此の橋にものや思えと風に吹かるる 


沢蟹の屍乾ける墓碑の前此処に果てるべく来たりしは何


栗拾う耳に記憶の甦る脱穀の音盛んなる昼

 

<管理人のおまけ>

老鴬(ろうおう)

斉藤史(さいとうふみ)・・明治ー昭和の歌人

丸寝(まるね、まろね)・・着物を着たまま寝ること


<管理人のつぶやき>

■3年後 大阪万博 行きたいな