義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

#591-600 並び起つ・・・

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関西花の寺25ケ所 第5番 高照寺

 

<義母の短歌>#591-600

並び起つ若竹の葉を縫うひかり夏の青さに泪さしぐむ


横切れる仔猫不意にふりかえる戻る巣のある確かなまなこ


此の峡に命与けて悔ゆるなし耳朶に親しき瀬音ひびきて


手をあげて便乗したる軽トラックにかそかにあらぬ牛糞臭う


率くものも追うものもなき我が常を奥処にたたみ野良着に替える


裏庭を風渉るときポリバケツ後追う如く音立てまろぶ


チリチリと侘しき音を確かめるバックのなかの小さき鍵の


山襞に煙りは直ぐにたちのぼり人住むことをやわやわと告ぐ


岩つつく鮎のひと群れ目に促う刻のゆるゆる流るる真午


酔芙蓉地に落つる間のたまゆらを見たり看取りし後の悲しみ

 

<管理人のおまけ>

率(ひ)く

促(うなが?)う

真午(まひる

たまゆら・・ほんの一瞬

 

<管理人のつぶやき>

あちこちで トラクターの音がする 気持ちは焦る春はもうすぐ