義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

#231-240 掌に・・・

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関西花の寺25ケ所 第2番 楞厳寺

 

掌に払う秋の蚊の羽根虹の色の透きてふるえて動かずなりぬ


一薙の鎌下に散らう彼岸花紅のうす絹ひるがえるごと


子育てに面やつれするうつし絵の実母見て我は良き世に生まれる


あれこれと服を選びて無駄な刻過ごす奢りを店舗の軒に


売るとせば二束三文買うときは高き値のつく菊地に臥して


人訪わず電話のベルも鳴らぬ日の白虹寒し血の色さわぐ


ひとり旅首振る鳩のまろき眸を暫しの友に列車待つ刻


犬嫌い通じぬものか訪う度に甘える犬を遂に撫ずれり


水溜まりあわやと除けてまだ少し残る若さに一人で笑まう


秋の陽の流れに写る我が影を茫と見ている魂揺れている

 

<管理人のつぶやき>
一薙(ひとなぎ)
奢り(おごり)
臥して(がして)
訪わず(とわず)
白虹(はっこう)・・白く見える虹
眸(ひとみ)
撫ずれり(なずれり)
笑まう(えまう)